温室効果ガスの削減量取引を各国間で活発化させる新たな国際的枠組みが、エジプトで来月開かれる国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で発足する。日本政府主導の下、30以上の国・国際機関が参加する予定だ。政府は独自に取り組んできた取引制度の仕組みを国際標準とし、日本の脱炭素技術を海外に売り込みたい考えだ。
削減量取引は、先進国が途上国に温室効果ガス削減につながる技術や資金を提供すると、減った分の一部を先進国側の削減量に計上できる仕組み。2015年のCOP21で採択された「パリ協定」の6条に規定され、昨年のCOP26では、日本の主張に沿って実施指針が合意された。
先進国は効率よく削減量を積み上げられる一方、途上国は脱炭素技術を向上させることができる。取引が本格化すれば、市場規模は20兆円に上るとされ、30年までに世界全体の排出量の3割にあたる年間90億トンの削減が進むとの試算もある。
日本が世界に先駆けて注力しており、13年に導入した独自の取引制度「2国間クレジット制度(JCM)」では、アジア、アフリカ、中南米など22か国と署名を交わし、再生可能エネルギー発電の導入支援といったプロジェクトを200件以上実施。日本企業も多数参画している。
ベトナム・バクニン省では現在、プラント大手・JFEエンジニアリングなどが大規模な廃棄物発電施設を建設中で、発電には化石燃料を使わず、1日500トンのごみを焼却し、その熱を利用する予定。二酸化炭素(CO2)の排出量は年間約4万1800トン削減される見込みで、一部は日本側の削減量に計上される。
政府は先月、枠組み発足に向けた準備会合を神奈川県内で開催。英、独、インドなど19か国と、世界銀行や国連開発計画(UNDP)など14の国際機関が出席した。政府は、枠組みを「パリ協定6条実施パートナーシップ」と名付け、100か国超の参加を目指す。JCMで培った取引のノウハウを参加国に提供して各国の体制整備を手助けすることで、世界の脱炭素をリードする狙いがある。
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米国と中国が参加しないと何の意味もないでしょう。
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