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2022年の仕事納めを翌日に控えた27日、岸田文雄首相が秋葉賢也復興相と杉田水脈総務政務官を事実上更迭した。8月の内閣改造後、閣僚交代は4人目。支持率の低迷や党内基盤の弱さが首相の決断を遅れさせた面は否めない。政権浮揚に向けた内閣改造・自民党役員人事を促す声もあったが、首相は安全策を取らざるを得なかった。 ◇11月には意向 「自身で辞任を決断した」。首相は27日、両氏ともあくまで自発的な辞任との「建前」を記者団に強調。「いま現在、内閣改造は考えていない」と明言した。 首相は今秋の臨時国会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を批判された山際大志郎前経済再生担当相ら閣僚3人を次々に更迭。周辺によると、首相は野党の集中砲火を浴びていた秋葉氏も交代させたい意向を11月ごろからにじませていたが、実行に移せなかった。 野党の攻勢にさらされていた当時、「秋葉氏更迭なら不可避」と言われた国会延長の回避が首相の優先課題だった。1国会で閣僚4人が辞任すれば、政権が揺らぎかねないとの懸念もあった。 一方、自民党内には秋葉氏が所属する茂木派会長の茂木敏充幹事長の意向が働いたとの見方もある。党関係者は「8月の改造で茂木氏が秋葉氏を最後に押し込んだ」と振り返る。岸田派は党内第5派閥にすぎず、政府関係者は「支持率が低下する中、第2派閥に配慮して秋葉氏を切れなかったのだろう」と解説した。 しかし、党内から「このままでは通常国会を乗り切れない」(閣僚経験者)との声が強まり、首相は茂木氏の理解を得た上で、杉田氏とセットで交代を決断したようだ。 ◇後任は安全重視 今回の人事に際し、党内からは「いっそ内閣改造で人事刷新を」(党幹部)との声も上がっていた。だが、政府関係者によると、首相が最後に残した選択肢は「数人のみ交代」「交代なし」の二択。一新した顔ぶれから5人目の辞任閣僚が出れば「政権が終わる」(党若手)と恐れたからだ。 後任人事にも安全運転に徹したい首相の思いがにじみ出た。首相は秋葉氏の後任に元復興相の渡辺博道氏、杉田氏の後任に元総務官僚の長谷川淳二氏を充てる人事を公明党の山口那津男代表に電話で伝達。その際、首相は「経験者で行政に通暁している」などと説明した。 ただ、改造見送りで火種が残った面は否定できない。政府内にはなお「政治とカネ」などの疑惑が取り沙汰される閣僚らがいる。自民党関係者は「改造見送りが裏目に出る恐れもある」と語る。 官邸の段取りの悪さも目立った。秋葉氏は復興推進会議の後、記者会見を挟んで更迭される形となったため、会見で「人事は私が決めることではない」と繰り返し、「辞任は自発的」とする首相の説明と食い違う結果となった。政府関係者は「更迭のタイミングが意味不明」と切り捨てた。 ◇通常国会へ手ぐすね 年の瀬の更迭劇を受け、野党は1月召集の通常国会に向け手ぐすね引く。 立憲民主党の泉健太代表は「岸田政権は崩壊状態と言っていい」と酷評。日本維新の会の馬場伸幸代表は「支持率に跳ね返ってくるだろう」と指摘した。共産党の志位和夫委員長はツイッターで「5人目に辞めるのは首相本人だ」と強調した。 来年4月の統一地方選や同時期に予想される衆院補欠選挙をにらみ、通常国会では与野党の攻防が激化しそうだ。
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国民の声を聞く力がなく、愚直な頑固さが、低迷の理由でしょうか。