【北京・坂本信博】中国新疆ウイグル自治区出身で米国へ亡命したウイグル族女性、ズムレット・ダウトさん(39)が新疆にいた2018年当時、当局から不妊手術を強制されたと西日本新聞の取材に証言した。新疆では近年、不妊処置件数が急増し出生率が激減。中国政府は「住民の自主的選択」とウイグル族を狙った人口抑制策を否定するが、ズムレットさんは「子どもが2人以上いるウイグル族女性はほぼ全員手術を強要され、1日5人ずつ施術された」と明かした。
ズムレットさんによると、故郷の区都ウルムチに住んでいた18年10月下旬、地域住民が中国国旗の掲揚集会に集められ、共産党員の役人から「2人以上の子どもを持つ女性に無償で不妊手術をする」と告げられた。当時36歳だったズムレットさんは子どもが3人いた。21年まで続いた当局の産児制限のためウルムチでは2人までの出産しか認められておらず、1万8400元(約35万円)の「罰金」を当局に納めていた。
ズムレットさんは18年春に約2カ月間、中国政府が「職業技能教育訓練センター」と呼ぶ施設に収容されて体調が悪化。帰宅が許された後も尿が止まらないなどの症状に悩んでいた。
パキスタン人の夫は「妻は手術に耐えられない。不妊処置が必要なら私が受ける」と懇願したが、役人は「外国人だから駄目だ。彼女が受けなければおまえを強制的に帰国させ、二度と中国に入れない」と脅したという。ズムレットさんは泣き崩れる夫を見て心が折れ、手術に同意。あくまで自主的選択だと明記した文書に署名させられた。
人口千人余りの地域に、子どもが2人以上の出産適齢期の女性は約200人おり、1日5人ずつ市内の施設で施術された。ウルムチは漢族が人口の7割を占めるが「漢族の女性は対象外だった」と断言する。
分娩(ぶんべん)台のようなベッドに上がると、背の低い50代くらいの漢族女性から点滴で麻酔を投与された。同じ日に手術を受ける予定だった5人のうち1人は、病気が見つかり免除された。意識が戻ると隣のベッドから痛みにうめく女性の声が聞こえた。「しばらくすると私も腹部に激痛を感じ、声を上げてしまった。子どもを産めなくなった自分を責めた」と涙を拭った。
ズムレットさんは19年、夫の母国パキスタン経由で米国に亡命。米国での検査で卵管結紮(けっさつ)手術を施されていたことが分かった。
地元政府の統計「新疆統計年鑑」によると、18年に新疆で不妊手術を受けていた人は約8万9千人に上り、約99%がウイグル族の集住地域に集中。出生率(人口千人当たりの出生数)は17~19年の2年間でほぼ半減した。ズムレットさんは「イスラム教徒にとって不妊手術を受けることは罪。望んで受けた人は私の周りに一人もいない。中国政府はウイグル族を絶滅させるつもりだ」と訴えた。
ウイグル 抑圧の実相
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中国も許せないでしょう。
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