静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流は8日、発生から6日目となった。この日も安否不明者の捜索活動が続いたが、土砂降りの雨などで作業の中断を余儀なくされた。重機が入ることもままならないほど、急峻(きゅうしゅん)な山間部の谷間にある被災現場。この地形が被害拡大につながったように見えた。(岸 良祐)
土石流の起点近くにあり甚大な被害を受けた岸谷(きだに)地区。この日は辺りの景色がかすむほどの豪雨に見舞われた。その雨水を含んだ泥が捜索隊の活動を苦しめていた。
この数日間、天候が不安定で泥の状態も日ごとに変化している。発生当初は底なし沼に踏み入れたかのように体が沈んだ。雨が上がって晴れ間がのぞくと、乾き始めた泥は硬く重くなった。
中学校の同級生が行方不明という男性が捜索現場を見つめていた。「がれきの間に人がいたとしても、泥が間に詰まって空間がなくなるから(生存は)難しいかもしれない…」。張り裂けるような思いを口にした。
岸谷地区は急峻な山間部の谷間にある。土石流が発生した瞬間を住民が撮影し、ニュース映像で繰り返し流された場所でもある。標高は約130メートル。海岸線に並行して走る国道から837段もの階段を空を仰ぐようにして上がる。土石流の起点となった標高400メートル地点から斜度は10度超の急勾配で一定しており、流出した土砂は勢いが衰えないまま、地区の住宅を押し流して海岸まで到達したとみられる。土石流のスピードは時速30キロ超だったとする試算結果も明らかになった。
土石流の起点になった盛り土周辺では、10年以上前からダンプが来て、土砂を捨てていたという住民の目撃情報があった。10年8月には盛り土に産業廃棄物の混入が判明。行政が撤去を指導したものの業者は従わず、計画で15メートルだった盛り土の高さは50メートルに達していた。今回流出した盛り土は5・4万立方メートルと推定されている。土石流は盛り土を含む計約5・6万立方メートルが崩れ落ちたとみられるが、それは人的要因が複合的に重なって生じたのではないか。そして急勾配を猛烈な速度で滑り落ち、大きな被害を招いたのではないか。この日は警察や消防、自衛隊などが1700人態勢で捜索に当たった。防水の作業着は通気性が皆無だろう。夏に突入すれば、うだるような蒸し暑さの中の作業を強いられることになる。途方もない量の土砂と戦いながら、全員が一分一秒でも早い安否不明者の発見を目指している。
《死者計9人に》大規模土石流で市は8日、新たに2人の死亡を確認したと発表した。身元や性別は不明。死者は計9人となった。身元判明の死者は計5人となった。残る安否不明者は22人になった。
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明らかに人災でしょう。
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