静岡県熱海市の土石流災害は、開発業者が搬入した大量の盛り土が崩落した疑いが浮上し、住民から「人災」を指摘する声が出ている。
一方、県や市は業者側に行政指導を繰り返しながら危険な状態を解消できず、被害の発生を防げなかった。同県の難波喬司副知事(64)は行政の責任に言及し、複合要因による災害の様相も呈しつつある。
県などによると、崩落した土地は神奈川県小田原市の不動産管理会社が2006年に取得し、07年に土の採取計画を市に届け出た。しかし、同社は届け出を超える面積の森林を伐採したほか、盛り土に産業廃棄物が混入していたことが発覚し、県から少なくとも5回の行政指導を受けていた。
届け出では、盛り土は高さ15メートル、約3万6000立方メートルのはずだったが、実際は高さ35~50メートル、約7万立方メートルで県の基準を超過した疑いがある。同社は工事の中止要請にも従わず、11年に土地を個人に売却していた。
基準を超える盛り土が見過ごされた背景に、何があったのか。鍵を握るのが、盛り土に関して「適切な工法が取られていなかった」と記者会見で断じた難波副知事だ。
難波副知事は名古屋大大学院で土木工学を学び、1981年に運輸省(当時)入り。修士論文は「降雨時の斜面安定の不確実性について」だったという。国土交通省では技術総括審議官を務め、静岡県の川勝平太知事に請われ副知事となった。
災害発生後は連日会見を開き、3時間に及んだこともある。歯に衣(きぬ)着せぬ発言を繰り返し、「われわれが何をチェックしていたのか問われる」と行政の責任に触れる一幕もあった。
県庁内からは「捜査当局でもないのに、原因を追及しすぎる」と懸念する声が上がり、古巣の国交省幹部は「何を根拠に言っているんだ」と危ぶむ。
被災した伊豆山地区の男性は「5~6年前に危険性を指摘したが、行政は動いてくれなかった。もっと早く対策を取れば、こんな大災害にならなかった」と訴える。
これまでの県の調査では、不動産管理会社への対応は行政指導にとどまっており、罰則もある措置命令は出されなかった。県は専門家らを集めたチームを立ち上げて検証作業を進める予定だが、返り血を浴びる覚悟が問われる。
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返り血をあびても、きちんと原因を検証して、責任の所在を明らかにすべきでしょう。
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