菅義偉首相(自民党総裁)の再選が懸かる党総裁選で、各派が沈黙している。
秋の衆院選が迫る中、中堅・若手を中心に「菅首相では戦えない」との危機感が強まっており、派閥幹部も状況を見極めているとみられる。二階派を率いる二階俊博幹事長の菅氏支持表明に続き、主要派閥が雪崩を打った昨年の総裁選とは様相が一変している。
首相は昨年8月29日、二階氏や森山裕国対委員長(石原派)と会談し、出馬の意向を伝達。二階、森山両氏は支援する意向を示した。この情報は即座に広まり、同31日には党内最大の細田派と第2派閥の麻生派、無派閥議員グループが追随。わずか3日間で「菅総裁」誕生が事実上決定した。
これに対し、今回の総裁選に向けては今のところ、二階氏や安倍晋三前首相ら派閥領袖(りょうしゅう)、党重鎮数人がわずかに首相支持を公にしているだけだ。前回同様の先を争うような派閥単位での動きは見られない。
背景には、自民党内で今、若手からベテランまで菅首相で衆院選を戦えるのかという疑念が急速に広まっていることがある。こうした傾向は、選挙基盤が弱いと指摘される各派の中堅・若手の間で特に強い。
関西の中堅議員は「地元を回ると首相の評判は最悪だ。退いてもらわないと選挙は戦えない」と強調。東京の中堅議員も「首相を代えた方がいい。党ではなく首相が嫌われている」と漏らした。現時点で派閥が締め付けを強めれば、かえって結束が乱れかねない情勢だ。
19日の石原派在京議員懇談会でも意見は割れた。中堅議員が政府の新型コロナウイルス対応を問題視。出席者の一人が「政府・自民党への批判がここまで深まるのは初めてだ」と指摘し、総裁選への態度を慎重に検討すべきだと発言。これに対し、別の出席者は「首相が代わっても感染状況は変わらない」と主張した。
同日の岸田派会合では、若手議員が「岸田文雄会長が決断したら従いたい。強いリーダーで信頼を得て衆院選を戦うべきだ」と、岸田氏に出馬を迫る場面もあった。
ある派閥の幹部は「菅首相でまとめようとしたら若手の反発がすごいだろう」との見方を示し、こう語った。「急いで表明する必要はない。様子を見てからでいい」。
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菅首相の再選で衆院選突入でしょうか。
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