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新型コロナウイルスの感染状況を評価する指標の見直しを巡り、政府と専門家の溝が深まっている。新規感染者数の比重を下げることで緊急事態宣言の常態化を避けたい政府に対し、見直しを議論する分科会メンバーからは「時期尚早だ」との声が上がる。全国で感染拡大に歯止めがかからず、首都圏では医療崩壊が目前。危機的状況への対応に集中したい専門家との間で温度差が際立つ。政府は宣言期限の9月12日までに結論を出したい考えだが、思惑通りに進むかは見通せない。 政府はこれまで宣言発令や解除の判断の際、病床使用率など複数の指標の中でも、直近1週間の10万人当たりの新規感染者数を重視してきた。 25人を超えれば宣言の目安となる「ステージ4(爆発的感染拡大)」だが、東京はいまや236人と10倍近い水準にある。このままでは9月12日の期限での宣言解除は難しく、菅義偉首相の衆院解散時期の選択肢がさらに狭まることへの懸念が政権内にはくすぶる。 政府高官は「ワクチン接種が進み、新規感染者数と病床使用率はリンクしなくなっている。(指標の)数字を変えることだってあり得る」と話す。 見直しを議論する政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は17日の記者会見で、「新規感染者数は大事だが、重症者数や入院者数などを含めた医療の逼迫(ひっぱく)程度をより重視することを出口戦略の基本とすべきだ」と述べた。首相周辺は「尾身会長とも問題意識は一致している」と自信を見せる。 ■ ところが-。「指標の見直しなんか現状でまったく議論していない。できる状況じゃない」。複数の分科会メンバーは口をそろえる。そもそも尾身氏ら分科会の専門家が見据える出口の時期と、政府の想定にはずれがあるとみられる。 首都圏を中心に感染は全国に爆発的に拡大し、ワクチン未接種の40~50代を中心に重症者が急増。7月20日時点で15%だった東京都独自の重症病床使用率は、1日5千人を超える新規感染者を受けて8月18日には70%まで増えた。東京は医療崩壊が目前に迫る。 「自宅療養中に亡くなる人が続出する恐れがあり、今週、来週をどう乗り切るかを考えないといけないのに、指標の見直しなんかしていたら間抜けだ」とメンバーは憤る。 別のメンバーは、新規感染者を抑えながら病床確保を図り、ワクチン接種なども進めるという「総力戦」で臨まないといけない時期だと強調する。「今はまだ長い出口の途中。(新規感染者を重視しないという)方向性を示した途端、感染を抑えることが後回しになり、医療がもっと逼迫する」と警鐘を鳴らす。 もっとも、コロナ対策で不手際が続く政府としても、「政治が勝手に決めたらまた批判を浴びる。分科会に考えを提示してもらってからでないと見直しはできない」(首相周辺)との立場。9月12日の宣言期限までに見直しはできるのか。官邸関係者は「尾身会長と腹合わせができているわけじゃない。本当に(提言が)出てくるのか分からない」と漏らした。 (久知邦)
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新規感染者重視の指標見直しで、早期の宣言解除が目的でしょうか。新規感染者数は重要な指標でしょう。
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