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巨人は20日、チームメートへの暴力行為で出場停止処分を受けた日本ハムの中田翔内野手(32)を無償トレードで獲得したと発表した。背番号は10。巨人は今季の年俸3億4000万円の残り分を負担する。「紳士たれ」を球団訓とする伝統球団がなぜ、愚行を犯した主砲獲得に踏み切ったのか。その背景に巨人担当キャップ・神田佑記者(38)が迫った。 編成権も持つ原監督が栗山監督から獲得の打診を受けたのは16日夜。球団幹部と検討する中で「このまま殺しちゃ駄目。もう一度生かすんだ」と獲得の必要性を訴えた。 中田は4日に行われたDeNAとのエキシビション戦前にベンチ裏でチームメートに暴行し、球団から1、2軍の全試合の出場停止処分を科された。前代未聞の愚行である。「紳士たれ」が球団訓の中で、世間の厳しい目も想像できる。それでも、なぜ再起の手を差し伸べたのか。 1つ目は批判を物ともしないこと。9度のリーグ優勝と3度の日本一を誇る実績が盾となる。かつては10人中9人の支持を求めたが「反対勢力はいる。賛成は5人でいいや」と変わった。第3次政権から編成権も担い、全権監督としてリーグ2連覇。批判は結果ではね返すことができる、という自信がある。 2つ目は人心掌握術。ミスを犯した選手を断罪する厳しさの一方で情にも厚い。中田を「わっしょいの輪に加わってくれた」と歓迎し「非常に強い選手。新たなチームに大きな希望を持って来てくれた」とハグまでした。野球をやめる覚悟までした32歳が、どれほどうれしかったことか。巨人の選手は畏敬の念を持つ。やんちゃなイメージの強い中田だが、原監督ならば手綱を引くことができる。 3つ目は先を見通す計算だ。中田と公私で仲の良い1学年上の坂本だけに事前にLINEで報告した。「リーダーの(坂本)勇人が幸い彼の1つ先輩であることが好材料」と、まとめ役を託す筋道を立てた。「同級生も含めて素晴らしい野球人、社会人がいます」とも語った。巨人では、同学年に菅野や丸と球界屈指の選手が居並ぶ。中田が日本ハム時代のような「お山の大将」にならない、という見立てもあった。 今回の移籍で「再生」と並ぶ思惑が「球界活性化」。同一リーグ、開幕直前だろうが、年俸格差があっても行う活発なトレードにも見られる。栗山監督から電話で「彼のことをいち人間、野球人として大事にしていた」と言われ「(痛みを)共有して進む」と語ったこともプロ野球という大枠で考えたからだ。 救いの手を差し伸べる一方で、リーグ3連覇への補強も同時に行っている。一塁手のスモークはコロナ禍で家族の来日がかなわず6月に退団し、レギュラーは固定できていない。大塚淳弘球団副代表は「原監督の下であれば人、プレーヤーとして輝きを取り戻せる。勝負に非情、厳しい。特別扱いは絶対しない」と期待。中田は救われた一方で、結果が残せなければ使われない。それが巨人であり、本当の再生でもある。 原監督は昨季、くすぶっていた沢村をロッテにトレードで出して復活させた。19年はタレントとして活躍していた宮本和知氏と元木大介氏を招へい。今季は桑田真澄氏と、指導者経験のないOBをコーチとして現場復帰させた。今度は中田である。「しっかりと戦いざまを見せてもらいたい。私自身もサポートしてベストを尽くす」。覚悟と自信と計算。原監督以外では実行不可能な移籍劇だった。 ▽無償トレード チーム間での移籍の際、選手交換や移籍金などが生じないトレードのことを指す。戦力外通告を受けた選手や、キャリアの終盤を迎えた選手が球団保有のまま無償の形で移籍するケースが多い。最近では19年に中田賢一がソフトバンクから阪神へ無償で移籍。巨人に無償トレードで移籍したのは03年ダイエーの小久保裕紀以来18年ぶり。
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巨人ではなく、久々の阪神に優勝してもらいたい。ソフトバンクのように攻めたら、中田攻略は難しくないでしょう。
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