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ホットラインに参加した花輪仁士弁護士(山梨県)は「接種が進むにつれ、打っていない人への差別が強まっていると感じた」と話す。208件の相談があった昨年5月は医療従事者の訴えが中心だったが、10月はその他の労働者をはじめ、学生や、ワクチンを巡る考え方の違いで離婚を考える夫婦の声もあった。温浴施設で店員から接種済みかどうか確認された客もいた。 花輪弁護士は、労働者被害の代表例である解雇について「ワクチンを打っていないことが理由なら基本的に不当解雇に当たる」と指摘する。事業主が業績不振など別の理由を装う例もあり、相談を呼び掛けている。未接種者を職場で周知するのも差別につながるとして使用者に配慮を求める。
∞∞ 接種の強要も依然としてある。福岡県内の介護施設で働く40代女性は、体質の不安を上司に分かってもらえず悩んでいる。 幼い頃に予防接種で呼吸困難になり、救急搬送された。意識が遠のき、全身にじんましんが出た。大人になってからも何度か服薬後に呼吸が苦しくなり、けいれんやじんましんが出て救急搬送された。この時「アナフィラキシー反応を起こした」と診断された。 職場に説明してインフルエンザの予防接種は受けてこなかった。ところがコロナワクチンの接種が始まると、アレルギーの詳しい説明と、受けられないことを示す診断書の提出を求められた。接種会場に行くよう命じられ、出向いて医師に相談したという。 会議では自分を含む未接種者が名指しされ、文書に名前を書かれていた。接種を控える理由も繰り返し問われる。 女性は訴える。「打ったら命にかかわるかもしれないのに。接種できない人を攻撃するのは本当にやめてほしい」 (編集委員・河野賢治)
記者ノート
「なんで打たんの」「頭、おかしいんじゃない?」。記事に登場する男性は新型コロナウイルスのワクチンを打っていないことで職場からこう責められていた。どんなにつらかっただろう。 接種は本人の同意が原則。ただ、2回受けた人は国の集計で約78%(昨年末、全人口比)に達し、受けていない人を「異質な存在」と見る傾向は強まっているようだ。 そうやって職場や知人間、家庭で差別や偏見にさらされ、言い返せる人がどれだけいるか。「打たない権利」は残念ながら尊重されていないように思う。 フランスの思想家ボルテールはかつて、表現の自由を「私はあなたの意見に反対だが、あなたがそれを主張する権利は命を懸けて守る」との言葉で表したとされる。同じようにワクチンを巡る考え方の違いも認め合いたい。そんな懐の大きな社会こそ、暮らしやすいと思うのだが。 (河野賢治)
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ワクチン接種は強制ではないため、個人の自由の尊重が必要でしょう。
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