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中国陝西省西安市で新型コロナウイルスの感染が拡大しロックダウン(都市封鎖)を導入してから半月が過ぎた。1300万人の全住民に対し、当局は移動を厳しく制限する一方、防疫措置を理由に医療機関での治療を拒否され、助かる患者が死亡したり、妊婦が死産したりする悲劇も発生。習近平体制が掲げる「ゼロコロナ」政策を疑問視する声も高まっており、当局は火消しに追われている。 ◇地元当局の対応にSNSで批判殺到 「コロナによる死者はほとんどいない。でもコロナ対策によって何人もの死者が出ている」 6日、短文投稿サイト「微博(ウェイボー)」には、西安市当局のコロナ政策に憤る市民のコメントがあふれた。きっかけは妊婦が診療を拒否され、死産したという投稿だ。 中国メディアなどによると、1日夜、妊娠8カ月の女性が腹痛を訴え市内の病院に搬送されたが、コロナの陰性証明の有効期限が4時間前に切れていたとの理由で、氷点下の屋外で2時間待たされた末、死産となった。妊婦の親族が、屋外で待たされ大量に出血する女性の様子などの映像をSNSに投稿すると「非人道的な対応だ」と病院の対応に批判が殺到した。 さらに市民の怒りに拍車をかけたのが、心臓発作で父親を亡くした女性の投稿だ。投稿によると、2日昼に父親が胸の痛みを訴え、病院に搬送したが「中リスク地域」に居住するという理由で治療を拒否された。その後もいくつもの病院に掛け合ったが、すべて拒否された。結局、受け入れ先が見つかるまで発作から8時間もかかり、父親は3日未明に亡くなったという。 この事例を5日未明に香港メディアが報じると、瞬く間に拡散。半日ほどで香港メディアの記事は削除されたが、ネット上では、中央政府が掲げる「ゼロコロナ」の実現のため硬直化している地元当局の対応に批判的なコメントが並んだ。 市内在住の地元紙の元記者、江雪さんは4日、ロックダウンの日々をつづった「長安十日」という文章をSNSで発表。都市封鎖という画一的な当局の対応に疑問を示しつつ、ゼロコロナ政策で露呈した食糧不足などの問題について「本質的には人為的な災害だ」と指摘した。2年前の湖北省武漢市の都市封鎖の際は、女性作家の方方さんがネット上で公開した「日記」が注目されたが、江雪さんの文章は「西安版方方日記」と話題になっている。 市当局は5日、妊婦の死産について、病院や市救急センターの幹部の処分を発表。6日の記者会見で公式に謝罪した。国務院の孫春蘭副首相も「予防や管理の問題が露呈された」として病院などに改善を求めた。こうした方針転換を受け、市当局は7日、48時間以内のPCR検査の陰性証明がなくても、診療が受けられるよう変更した。 陝西省の発表によると、西安市で6日に確認された感染者数は57人で、ピーク時の3分の1まで減少した。国の衛生当局は「大規模な感染再拡大のリスクはおおむね抑え込まれた」との認識だが、封鎖解除への具体的な道筋は示せていない。 隣接する河南省でも6日の感染者が56人と感染が拡大している。「ゼロコロナ」の看板を掲げたまま、厳格な防疫措置と現場に即した救急医療が両立するのか――。西安市が直面した難題は、周辺自治体にも突きつけられている。【北京・岡崎英遠】
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規則通りに行動しても処分を受ける、法律違反でないのに逮捕拘束される、そんな国でしょうか。
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