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定年退職は、仕事だけではなく社会とのつながりや肩書などさまざまな喪失の機会になりがちだ。女性に比べ、地域との縁が薄いことが多い男性は、身の置き場さえ見つけられないこともある。 「昼ご飯、作りたくない」。70代の男性は、妻の言葉に驚いた。60歳で定年を迎えた後、雇用延長で66歳まで働き、退職してから間もないころだった。 妻は続けた。「週に3日は外に出てほしい」。きつい話だと思ったが、けんかはしたくなかった。 コンビニで昼食用のおにぎりを二つ買い、電車へ。植物園、寺や公園のベンチなどで昼食をとった。 現役時代は昼ご飯を1人で食べることがよくあった。寂しさは感じなかった。でも、同世代の高齢者が孫を連れて一緒に食事をしている姿を見ると、うらやましく思うこともあった。 長いサラリーマン生活で、自分が暮らす街をよく知らないままだった。退職前は、県外での単身赴任が10年以上続いた。長年、夫が不在だった妻には、妻の生活のペースができてしまっていたように思う。 ◇ 大阪市旭区の横井英司さん(78)が退職したのは2020年春、新型コロナの感染が広がり始めたころだった。 営業マンとして50年以上、数多くの取引先と毎日話すことが生きがいだった。だが、退職したとたん、ほぼ誰とも話さなくなった。コロナ禍で外出もままならなくなった。 朝、起き上がれない。全身がだるく、気力がわかない。「営業マンにとって、予定がないことほどつらいことはない」 家に閉じこもり、「引きこもり」状態になった。 転機は半年後に訪れた。妻が体調を崩して入院、病院の指示で、区役所へ妻の介護保険の手続きに行くと、区の社会福祉協議会を案内された。 男性だけが参加できる区社協主催の高齢者大学のパンフレットに目がとまった。一緒にいた妻のケアマネジャーが背中を押し、「入学」した。 旭区に住んで約70年。初めて地元の人たちと話すようになった。「卒業」したいまも交流は続く。「男ばかりで気兼ねがなく、好きな時に参加できるのがいい」と話す。(瀬戸口和秀、島脇健史)
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定年退職までの行動に問題ありでしょうか。熟年離婚されないだけ、よかったでしょう。
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