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2015年4月8日水曜日

東大卒業式、ネットで激賞 伝説の格言の内幕明かし、コピペ情報に警鐘 信州大あいさつと一緒に話題に

 3月にあった東京大学教養学部の卒業式。石井洋二郎学部長のあいさつが、ネットで注目されています。半世紀前の日本一有名な卒業式の式辞「肥った豚よりも…」が、実は本人が話していなかったことを明かし、ネット上にあふれる不確かな情報への接し方に言及。「スマホ依存」に警鐘を鳴らした信州大の山沢清人学長のあいさつとともに、ツイッターなどで拡散しています。
伝説の式辞「肥った豚よりも…」はデマ?
 石井学部長が取り上げたのは、1964年に東大総長だった大河内一男さんのあいさつです。「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」と発言したとされています。この発言は、東大卒だからといってエリート意識を持たないようたしなめる格言として、知られています。

 石井学部長は、大河内さんのあいさつについて、実際は大河内さんの発言ではなくJ・S・ミルの引用だったこと。原稿には、J・S・ミルの引用を明記した上で書かれていたが、実際には読まれなかったこと。そして、原文をかなりアレンジした表現になっていることなど、内幕を明かしました。
「善意のコピペは、悪意の虚偽より…」
 その上で、石井学部長は「この幻のエピソードはまことしやかに語り継がれ、今日では一種の伝説にさえなっている」と指摘。ネット上にあふれる情報について次のように警鐘を鳴らしました。

 「善意のコピペや無自覚なリツイートは時として、悪意の虚偽よりも人を迷わせます。そしてあやふやな情報がいったん真実の衣を着せられて世間に流布してしまうと、もはや誰も直接資料にあたって真偽のほどを確かめようとはしなくなります」
「必ず一次情報に立ち返って」
 そして、石井学部長は卒業生に対して、こう呼びかけました。

 「あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、『教養学部』という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる『教養』というものの本質なのだと、私は思います」
自分のあいさつに対しても「必ず確かめて!」
 最後に、ニーチェの「ツァラトゥストゥラ」の言葉から「きみは、きみ自身の炎のなかで、自分を焼きつくそうと欲しなくてはならない。きみがまず灰になっていなかったら、どうしてきみは新しくなることができよう!」を紹介した石井学部長。さらに、こう付け加えました。

 「いま私が紹介した言葉が本当にニーチェの『ツァラトゥストゥラ』に出てくるのかどうか、必ず自分の目で確かめることもけっして忘れないように」
信州大あいさつと共に話題に
 石井学部長の式辞は教養学部の公式サイトで全文公開されています。式辞に対しては、ツイッター上で「感心しました」「批判的思考の重要性を説いた良いスピーチ」など、称賛の声が相次ぎました。また、4月4日にあった信州大の入学式と関連づけて「併せて読むと興味深い」などの投稿もありました。

 ちなみに教養学部によると、公開された文章は、大河内さんの時とは違い、すべて実際に読み上げたそうです。
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 簡約すると、情報の真偽を自分の目で確認し、頭と足で検証する健全な批判精神が、教養である。
 情報を鵜呑みにして、騙されるな、ということでしょうか。

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