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2015年6月22日月曜日

<安保法案>宮崎元法制局長官「違憲」 阪田氏、掃海は枠外

 安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会は22日午前、法案について有識者の意見を聞く参考人質疑を行った。宮崎礼壹元内閣法制局長官は関連法案について「従来の憲法解釈と相いれず、憲法違反だ」と厳しく批判した。また、阪田雅裕元内閣法制局長官は法案の内容に理解を示しつつも、政府が想定する中東・ホルムズ海峡での機雷掃海は「従来の憲法解釈の枠内にはない」と強い疑問を呈した。【青木純、飼手勇介】

 特別委には、与野党が推薦した参考人5人が出席。宮崎氏(民主推薦)と小林節慶大名誉教授(野党推薦)の2人が法案を憲法違反と指摘する一方、阪田氏(維新推薦)と西修駒沢大名誉教授(自民推薦)、森本敏元防衛相(公明推薦)の3人が一定の理解を示し、意見の隔たりが改めて浮き彫りになった。

 2006年から10年まで法制局長官を務めた宮崎氏は、集団的自衛権について「本質は他国防衛で、恣意(しい)的、過剰な武力行使を招きかねない」と指摘。「自国防衛」に限って集団的自衛権の行使ができるとする政府の主張を「虚構であり、歴史をはなはだしく歪曲(わいきょく)している」と批判した。

 また、政府が集団的自衛権の行使容認の直接の根拠としている1972年見解にも言及。政府が「基本的論理」としている部分は個別的自衛権への言及だと指摘し、「どうして根拠に使えるのか」と批判。「法案は従来の憲法解釈と相いれず憲法違反で、速やかに撤回すべきだ」と明言した。

 今月4日の憲法審査会で「違憲」と指摘した小林氏も「集団的自衛権は政府の判断によって行使できてしまう。(政府の示す行使の条件は)事実上の無限定の判断基準だ」と語った。

 一方、04~06年に法制局長官を務めた阪田氏は「今攻撃されている国が負けたら次は日本が攻撃されるという場合、日本への攻撃があるまで手をこまねいていていいのか」と指摘。日本への攻撃が差し迫った状況で集団的自衛権行使を可能にすることについて「従来の憲法解釈と論理的に全く整合しないものではない」と一定の理解を示した。ただ、中東での機雷掃海については「日本の存立が脅かされる事態に至るはずがなく、従来の憲法解釈の枠内にはない」として、現行憲法の下では不可能との見解を示した。

 このほか、西氏は「集団的自衛権は主権国家が持つ固有の権利だ」として関連法案は合憲だと主張。森本氏も安全保障環境の変化に言及し「今の法体系では国民の安全を守れない。アメリカの安全保障政策の見直しを同盟国としてどう補完するかが最も重要な命題だ」と早期成立を求める考えを示した。
(毎日新聞)

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