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2015年6月25日木曜日

剛腕・小沢一郎が安倍首相の野望を暴く「本音は軍事大国を目指すこと」〈週刊朝日〉

 安倍首相はどこに向かっているのか――。安保法制を急ぐ安倍政権に、自民党幹事長を務め、現在は「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表である小沢一郎氏が、第2次世界大戦を繰り返す危険すらあると、危惧する。

*  *  *
 日本の安全保障の根幹は憲法9条です。9条の理念と原則がはっきりとしないまま、安全保障の論議をしようとすることが、そもそもの間違いです。

 集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、どこにでも海外派兵ができるようにするのであれば、9条違反になる。僕はずっとそう言い続けたが、今国会の論議、これまでのメディアの論調は、憲法違反という根本が全く議論されず、ホルムズ海峡や存立事態がどうのこうのと、イケイケどんどんで進んできた。憲法学者の先生方が「違憲だ」と声を上げてくれたことで、国民、メディアもようやくことの重大さに気づくことができました。

 憲法9条の理念、原則、解釈をきちんと打ち出さず、なし崩しのまま、安保法制論議を進めると、結局なんでもできてしまい、非常に危険です。憲法があってもなくてもよくなってしまう。さらに危険なのは、「個別的自衛権の拡大解釈」です。これは政治家もメディアも学者たちも見落としていますが、かつての大日本帝国の海外派兵は、すべて個別的自衛権の発動でした。「邦人の生命・財産が危うくなり、日本国の権益が侵される」という理由で、このまま進んでいくと、日本は、かつて他国から攻撃、侵略されなくても、海外に出兵し、第2次世界大戦で大敗北を喫した歴史を繰り返す危険すらあります。

 僕が自民党の幹事長だった1990年、イラク軍によるクウェート侵攻を機に湾岸戦争が起こりました。国連の安全保障理事会の了承を得ていたので、当然「日本も参加すべき」と僕は主張した。国連の平和活動は国家の主権である自衛権とは異質のものであり、国連の決議で決定された活動に対しては、日本は積極的に参加すべきなのです。ただし、当時も決して、戦闘部隊を送れと主張した訳ではありません。要請されたような「野戦病院や物資の輸送などの後方支援」を僕は促したのですが、防衛庁、外務省も当時の海部俊樹首相も同意しませんでした。内閣法制局は当時、「後方支援は、武力の行使と一体だから憲法9条に違反する」と言い続けていましたよ。

 ところが、安倍政権下ではもっと広域な活動を可能にする安保法制を提案し、法制局はそれを認める見解を示しています。これまで法制局の見解は何度も変わりましたが、集団的自衛権は行使できないという一線は越えなかった。それが今度は一体、どういうつもりなのか。安倍さんは「国際貢献」などと、表向きはきれいなことを言っているが、本音は自衛隊を自由に海外派兵できる国にすることだ。その証拠に、国連活動(国連の決議)という前提も全く考えていない。つまり、日本が出兵したいところには、いつでもどこでも自由に行けることになる。安倍さんは、軍事的にも大国を目指したいというのが本音だと、僕は思います。

 高村さん(高村正彦副総裁)はもともとリベラルの三木派出身ですし、安倍さんとは考え方が本来全く違うはず。ですから、彼の表情を見ていると心ならずもな感じがします。今の自民党を象徴している気がしますね。自民党内に安倍さんを止める勢力がなくなってしまったのは、本当に情けない話です。自民党は、日本を一体どういう国にしていこうとしているのか、野党もそこを突いていかなければなりません。
(本誌・西岡千史、牧野めぐみ、古田真梨子)
※週刊朝日 2015年7月3日号より抜粋

 安倍首相は、軍事大国を目指しているのだろうか。

 目指しているのは、米国の後方支援で、共同で世界平和に寄与することだろう。

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