フラフラと上がった打球が、左翼手の前で弾んだ。5点を追う六回二死二塁で大谷が左前適時打。岸の143キロの直球に食らいついた。
「きょうはたまたまという感じですね。もっと早い回にチャンスを作りたかった」
6月3日の広島戦以来、23日ぶりの打点に安堵(あんど)の表情を浮かべた。試合前の打率は・175。打撃不振で先発から外れる可能性もあったが、通算11打数4安打と岸との相性を買われて「5番・DH」で先発した。チームは今季ワーストタイの12失点で3位に転落したが、大谷の適時打は明るい材料だ。
発奮する理由があった。試合前に球宴のファン投票の最終結果が発表され、先発投手部門で選ばれた。ファン投票では入団1年目の2013年の外野手部門に続き2度目。投手、野手の両方では1953年に投手、63年に外野手で選出された関根潤三(近鉄)以来52年ぶり、史上2人目の快挙となった。“二刀流”として球宴史に名を刻んだ。
年に一度の祭典。昨年の球宴第2戦(甲子園)では日本最速の162キロを計測した。あれから1年。「素晴らしい選手ばかり」と対戦したい打者は挙げなかったが、注目が集まるのは日本新記録の樹立だ。
登板翌日の野手出場は控えており、昨年に続き投手のみの出場が有力。「短いイニングで投げられる機会は少ない。1イニングを全力でいける。(球速は)持ち味。できるだけ頑張りたい」と全力投球を誓った。
夢の162キロ超え-。大谷が球宴で新たな歴史を作る。
(サンケイスポーツ)
球宴の顔は、大谷だろう。
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