政府が新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の対象拡大を決定した。東京五輪に続き、8月24日に始まるパラリンピックも宣言下で開催されることになるが、東京での「感染爆発」を指摘する声が上がるなど宣言の効果は薄れている。専門家からは実効性のある措置として、ロックダウン(都市封鎖)の法整備の検討を求める意見も出ている。
◇変わる局面
「強制力の緩やかなこの(コロナ対策)特別措置法では、なかなか協力に応じてもらえない」。西村康稔経済再生担当相は30日、首都圏3県などへの宣言拡大などを事前報告した参院議院運営委員会で、こう苦しい心情を吐露した。
緊急事態宣言は、政府が講じる最も強い感染対策で、感染拡大抑止の「最後のカード」だった。昨年4月に初めて出された宣言は発令と解除を繰り返してきた。
政府が宣言を発令するたびに、飲食店を中心とする事業者や国民は自粛を迫られた。期間が長引くにつれ「自粛疲れ」が指摘され、宣言の効果が薄れてきている。
今月12日に4回目の宣言が始まった東京は、感染力の強いインド由来のデルタ株を背景に、感染者が減少するとされる2週間が経過しても、むしろ急増している。30日の都内の新規感染者は3300人と3日連続で3000人を超え、政府は「恐ろしい局面に入っている」(田村憲久厚生労働相)と危機感を強める。
さらに、都内では酒類提供停止や営業時間短縮要請に応じない飲食店が数千店に上る。田村氏は「以前のような効果が出ていない」と認める。
にもかかわらず、宣言の拡大・延長に踏み切ったのは、新たな期限の8月31日までにワクチン接種や治療薬の抗体カクテル療法「ロナプリーブ」の活用を進めるためだ。政府関係者は「宣言で時間を稼ぎながらワクチンなどの効果が出るのを待つのが基本戦略」と語る。
◇漂う手詰まり感
こうした中、30日に開かれた政府の基本的対処方針分科会では、出席者から感染対策を強化するため、「ロックダウンを考えるべきだ」「全国に宣言を発出するべきだ」との意見が相次いだ。
厳しい私権制限措置を伴うロックダウンは欧州などで実施されているが、日本の法整備は進んでいない。分科会終了後、全国知事会長の飯泉嘉門・徳島県知事は「法整備を検討する段階に来たのではないか」と指摘した。これに関し、菅義偉首相は30日の記者会見で否定的な考えを示したが、同席した同分科会の尾身茂会長は「飲食店だけでなく、人々の行動を制限する議論は必要だ」と訴えた。
感染拡大抑止に向けた実効性のある新たな具体策は見当たらず、政府内には手詰まり感も漂う。専門家の間では「(都内では)3000人を超える感染者数がしばらく出てくる」との見方は少なくない。
尾身氏は30日午後、首相官邸で首相と面会。国民の協力を得るため、強いメッセージを発信するよう要請したのに対し、首相は前向きに応じる考えを示したという。ただ、首相会見を受けて、共産党の志位和夫委員長は30日、ツイッターで「首相自身が危機感を持っていないのが最大の危機だ」とこき下ろした。
菅政権は、五輪期間中に宣言の拡大・延長に追い込まれたが、「五輪が原因で感染拡大はしていない」(自民党幹部)との立場。ただ、感染状況が改善した場合に首相が意欲を示していた観客入りでのパラリンピック開催については、宣言下で行われることが確実となったため、絶望的になりつつある。首相に近い自民党幹部も「観客入りは難しい」と語った。
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政府のぬるい後手後手の対応で長期化して経済活動を阻害している。ロックダウンで短期間に終息させるしか方法はないだろう。
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