破産手続きに入ったのは、中国で水栓金具や衛生陶器の製造・販売を行う「ジョウユウ」。昨年、約4000億円で買収した独水栓金具大手「グローエ」の傘下にある。今年4月の外部からの指摘で、中国系の創業一族による不正な会計処理と巨額の簿外債務の存在が発覚。調査の結果、経営破綻が不可避となった。リクシルは創業者らへの法的措置も検討している。
リクシルの損失の内訳は、ジョウユウの株式価値毀損(きそん)で約320億円、同社の借金肩代わり(債務保証)で最大330億円。このほか、今回の調査費用も計上する。損失額がほぼ確定したため、リクシルは15年3月期の最終利益見通しを220億円(従来予想245億~310億円)に下方修正。延期していた決算発表も8日に実施する。
リクシルの歴史は買収に次ぐ買収だ。最近は海外企業がターゲットで、グローエのほか、11年にビル外装材世界最大手の伊ペルマスティリーザ、昨年は水回り大手の米アメリカン・スタンダードの北米事業を買収してきた。それだけに海外M&Aが絡む今回の一件は痛手だ。都内で会見した藤森義明社長は、社長直属の監査組織設置やリスク管理の強化策を打ち出した上で「グローバル戦略は引き続き推進する。一時的に減速しても方向性は変えない」と強調したが、「19年度に海外売上高1兆円」の目標達成に狂いが生じる恐れもある。
また、今回の一件は中国ビジネスのリスクも再認識させた。今回のような不正行為だけでなく、賃金の上昇や労働問題、過当競争、法体系の未整備など枚挙にはいとまがない。藤森社長も「中国は重要な市場」としながら、「機会もリスクも多い」と認める。
中国ビジネスに詳しい日本貿易振興機構(ジェトロ)の箱崎大・中国北アジア課長は「日本企業進出の際、人事面は中国側に任せるのが望ましいが、財務面は中国側に任せて問題になるケースが多い。『管理』と『信頼』のバランスが重要だ」と指摘している。(田端素央)
(SankeiBiz)
中国子会社の粉飾決算に騙されての、M&Aの損失発生は経営陣には痛い。
最近、日本企業の金余り・国内市場の拡大が見込めないため、海外企業のM&Aが加速しているらしいが、いろいろなリスクが伴うようだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿