再逮捕されたのは、工藤会のトップで総裁の野村悟容疑者(68)で、工藤会の幹部、山中政吉容疑者(64)ら3人が新たに逮捕されました。警察は北九州市小倉北区にある野村容疑者の自宅などを捜索しました。
警察などの調べによりますと、野村容疑者は、工藤会がおととしまでの4年間に傘下の暴力団員から集めた上納金のうち2億2000万円余りについて、実際には個人の所得だったのに申告せずに隠し、およそ8800万円を脱税したとして所得税法違反の疑いがもたれています。また、山中容疑者ら3人は上納金を管理する立場だったということです。
警察などは、2億2000万円余りが野村容疑者の親族名義の口座などに送金され私的に使われていた疑いが強まったことなどから個人の所得にあたると判断したということです。
警察は逮捕した4人の認否について明らかにしていませんが、面会した弁護士によりますと、野村容疑者は「何で脱税になるのか」と話し、今後の調べに対し、黙秘する意向を示したということです。警察は17日以降も関係先の捜索を続け、裏付けを進める方針です。警察によりますと、暴力団の上納金を巡る脱税事件の摘発は全国で初めてだということです。
上納金にねらい絞った捜査
暴力団の主要な活動資金の「上納金」にねらいを絞り、脱税での摘発という初めての手法を用いた今回の捜査。資金の性質上課税が難しいとされてきた税務面のハードルを乗り越えて工藤会トップの逮捕につなげました。
暴力団が組織内にため込んだ資金は、違法薬物の取り引きやヤミ金融の利息など犯罪による収益と認定されれば、法律に基づいて全額を没収することができます。しかし警察が捜査の過程でまとまった資金が見つかっても、犯罪で得た金かどうか判断するのは難しく、すべてのケースで没収できるわけではありません。
このため警察は、犯罪収益が含まれている疑いが強い資金については国税当局に通報し、一部だけでも課税処分で徴収するよう求め暴力団の弱体化を図ってきました。
ところが組織を維持するために配下の暴力団員から集める「上納金」だけは、これまで課税が難しいとされてきました。これは税務上、暴力団は多くの場合、PTAや町内会などと同じ任意の団体とみなされるからで、上納金はその会費と同じように組織の運営に使われている限りは課税の対象にできないのです。
こうした税務面でのハードルを乗り越えるため、警察は国税当局と連携して上納金が何に使われたのか徹底して調べました。特定の人物が上納金で飲食を繰り返したり、自分の家を購入したりするなど私的に使ったことが裏付けられれば、個人の所得として税務申告の義務が生じると考えたからです。
そして野村容疑者が親族などの名義の口座に上納金の一部を送金したことを突き止め、私的に使った疑いが強まったとして脱税での摘発につなげたのです。
元国税査察官「暴力団全体への警告に」
東京国税局の元査察官で、長年脱税事件の摘発にあたってきた安藤智之税理士は、今回の事件について「国税当局と警察が連携して知恵を搾り出し、税務調査でも困難を極め実態がわかりづらい部分にメスを入れたことは大きな意義がある。また、今回の方法をほかの暴力団にも活かせば、暴力団全体に対する警告になるのではないか」と話しています。
(NHKニュース)
わかりやすいニュースです。
暴力団の資金は、犯罪収益と認定できれば没収できる。
認定不可については、脱税で税として徴収する。
暴力団は、PTAや町内会と同じで、任意の団体だから、単純にはその資金を課税できないが、個人が私的流用した分を所得認定して課税する。
お金の流れや使途を解明しないと所得認定も難しいだろう。
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