高橋社長は紺色のネクタイとダークスーツで現れ、15秒ほど深々と頭を下げた。「このような重大な事故を起こし、おわび申し上げます」と謝罪し、再び15秒ほど一礼。同じような礼を6回繰り返し、会見を始めた。
バスは14日夜に出発し、15日午前2時ごろ、事故を起こした。運転手2人が14日夜に車庫を出る際には運行管理者か代理者(高橋社長)の点呼が必要だった。しかし、高橋社長は「(2人は)点呼をせずに出かけてしまった」と説明した。
点呼は運転手のアルコール呼気検査や健康状態の確認のために対面で行う。無点呼だった理由を高橋社長は「5分ほど遅れた」と、自らの遅刻が原因と説明。呼気検査も運転手2人だけで行ったという。運行管理者の荒井強本社所長(47)は無点呼の出発が12月以降、4~5回あったとした。
バスは15日に斑尾高原に到着予定だったが、途中の峠の沢に転落した。しかし、運行管理の書類には、到着を確認したとする高橋社長のはんこを、13日のうちに荒井所長が押していた。
土屋運転手は昨年12月、イーエスピーの契約社員となった。雇用時に健康診断をしておらず、以前の健康診断結果も把握していなかった。
土屋運転手は大型バスの運転経験がなかったが、先月に2回の研修と1回の乗務、今月に2回乗務し計5回乗っていたといい、今回が6回目だった。経験が十分だったかどうかの認識を問われ、荒井所長は「一般道は土屋運転手には運転させないようにしていた」といったんは話したが、本人から「平気」との話があったとも説明。土屋運転手が一般道の峠道の事故現場を、大型バスで通るのが初めてかどうか、同社は会見で明らかにできなかった。
バスツアーの安全コスト確保のために国が定めた最低代金の基準も満たしていなかった。高橋社長は「基準は23~24万円だが、旅行会社のキースツアーが決めた19万円で受注した」と明かした。一方で、安全コスト切り詰めについては「タイヤも昨年11月か12月初頭に新品にした」とし、「まったくない」と強調した。
高橋社長は「もしかしたら心の緩みが…、と思っています」とずさんな管理態勢を謝罪。会見が予定の1時間を30分超えたころ、高橋社長と荒井所長らは立ち上がり、土下座して会見を打ち切った。【清水優】
(日刊スポーツ)
あまりにずさんでお粗末。
経験不足の運転手では、事故は起こるだろう。
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