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2016年8月19日金曜日

名スカウトがチェックした甲子園のドラフトA評価は4人。

 夏の甲子園も、ベスト4が出揃い、ネット裏のプロスカウトの人数も少なくなった。スカウト陣にとって、地方大会から甲子園が高校生候補選手の最終チェックの場所。今大会での評価の上げ下げを元にドラフト会議の指名候補者を高校生だけで、評価順に70人ほど並べることになる。

 元ヤクルトの名スカウトで、古田敦也や宮本慎也を発掘した片岡宏雄氏に、別表のように、甲子園出場組の中から、いわゆるA、A´B評価をつける上位候補をリストアップしてもらった。片岡氏は「10年に一人の特Aと言われる選手はいないが、好投手が目立ち、野手に関しても、例年レベルの選手も揃った。二塁手にいい選手がいたなという印象がある」と、大会を総括した上で、大会ナンバーワン評価のドラ1候補として作新学院の今井達也投手の名前を挙げた。

「BIG3よりも、私の評価としては、一枚、今井が抜けた存在に見えた。152キロを出したのは甲子園特有の火事場の馬鹿力だったかもしれないが、制球力もあり、間合いを持っていてピッチャーらしいピッチャー。特に肘の柔らかい使い方からシャープな腕の振りが目についた。肘に使い方というのは教えられるものではない。球離れがよくボールの回転がいいのも、そのせいだ。細身だが、全身にバネを感じさせ、PL時代の前田健太、堀越時代の岩隈久志を彷彿させるものがある。下半身が鍛えられてくれば、もっとスピードも増すし制球力もつくだろう。伸びシロも感じさせる」

 県大会では、ストレートの最速が150キロを超えたことはなかったが、1回戦の尽誠学園戦では、最速151キロをマーク、13奪三振で完封勝利。ベスト8進出を決めた花咲徳栄戦では、さらに1キロプラスの152キロを出して2失点、10奪三振。先発を回避していた「BIG3」の左腕、高橋昂也が4回からマウンドに立ったが、主役は今井の方だった。しかも、ストレート一本でなく、カットボールをうまく織り交ぜる投球術まで見せて、片岡氏をうならせた。

「BIG3」の寺島成輝(履正社)は、藤平尚真(横浜)との直接対決で雨で何度もゲームが中断する集中力が途切れがちなゲームを投げきったが、一方の藤平は先発ではなく、緊急登板して打たれた。その寺島も常総学院大戦では、先発ではなく、リリーフ起用されてベスト16で姿を消した。片岡氏は、大会前に「BIG3」の中での1番手として寺島を推していたが、その評価は変わらないという。

「3投手に関しては、急なリリーフでは準備不足。監督の起用法に疑問が残ったが、私が評価するのは寺島だ。手を抜くような“とっぽさ”が気にはなるが、一生懸命投げれば、どこまでできるのか、を見せた。中日にドラフト1位指名され、1年目から1軍抜擢されている東海大相模の小笠原よりも現時点で力はスケールも含めて上だと思う。直球で空振りを取れ、リズムが抜群でリリースポイントが安定している。春から急成長してきた高橋は、制球力に重点を置いているようだったが、要所でのボールには力がある。藤平は全身を使った力強いフォームだが、もう少し緩急をつけたい。走者を置いてピッチングに課題が残った」

 A´と、ひとつ下の評価にされたが、片岡氏が「面白い素材」と見ているのが、早川隆久(木更津総合)、堀瑞輝 (広島新庄)の2人だ。両者は、ベスト16で直接対決。早川が、2試合連続完封となる3安打完封で2-0で勝利した。

「早川はテンポと制球、センスが目につく。キャッチャーとの呼吸が抜群で、こういう部分にセンスを感じる。打てそうで打てないボール。ヤクルトの石川みたいになれる可能性がある。問題は、性格。プロでは周囲が凄いので、そこで劣等感を抱くような性格なら社会人、大学に進み自信をつけたほうがいい。そのあたりマイペースを貫けるような性格なら2年、3年で大化けするのかもしれない。堀はキレがあり打者に向かっていく気迫がプロ向きだ」

 前評判の高かった藤嶋健人(東邦)、まさかの9失点をした“松坂2世”高田萌生(創志学園)に関しては、「藤嶋はプロでは野手だろう。センターから右へ打て、右中間の打球が伸びる。高校生としては抜群のセンス。高田は、スカウトの評価は下げたのかもしれあいが、キャッチャーとの息が合わなかった。彼の素材そのものの評価に変わりはない」という評価だった。

 野手からはドラフト候補として7人の名前が挙がった。
 どの球団も補強ポイントとして目をつけている捕手には、父が元池田高校のやまびこ打線の一人だった九鬼隆平(秀岳館)、清水風馬(常総学院)の2人。外野手には、小林虎太郎(作新学院)、 鈴木駿輔(星光学院)、北川竜之介(中京)の3人がリストアップされた。北川は一回戦の大分戦で満塁本塁打を含む4の4と爆発した3番打者だ。  

 内野手からは、左打ちの三塁手2人。楠本晃希(花咲徳栄)は、敗れた作新学院戦では、片岡氏がナンバーワンドラ1候補に挙げた今井から本塁打を含む、あわやサイクルの3安打と気を吐き、非凡さを見せつけた。小原大河(盛岡大付)は激戦となった初戦の九州国際大付戦で、浜風をものともせず甲子園のライトスタンドへ一発を放った。 

「九鬼は、選抜に比べてスローイングがスムーズになっている。九鬼、清水の2人はサイズがあるし、清水は鈴木の好投を引き出したリードのリズム感も目についた。野手はセンスと足と肩。作新の小林は足がある。中京は、通算68本の一塁手、今井が注目されていたが、本塁打を意識しすぎていたのか、大振りが気になった。逆に北川の方が、シャープで広角にも打てる。C評価になるが、作新と鳴門のショートもシャープさが目についた。鳴門の日野は、身長が167だがパンチもあるしセンスの塊のようなスイッチヒッター。体格でプロでは敬遠されるかもしれないが、彼は、ここを直さねば、という欠点がない。こういう選手はプロで慣れてくると面白いと思う」

 片岡氏は、山本挙輝(作新学院)、日野洸太郎(鳴門)の2人のショートストップもチェックした。

 明日の準決勝で、片岡氏イチオシの作新学院の今井がどんなピッチングを見せてくれるのか。秀学館の九鬼は、大型捕手の片鱗をアピールしてチームを決勝へ導くことはできるのか。ドラフト候補生たちの夏も、いよいよクライマックスを迎える。
(THE PAGE)

 今井いいね。

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