ついに、ついに今季115試合目で初の首位に立った。日本ハムは25日のロッテ戦で4連勝。敗れたソフトバンクを抜き、マイナス0・5ゲーム差の珍事を脱して1・5差をつけた。増井浩俊投手(32)が1失点でプロ初の完投勝利。今季途中に先発転向し、打者に専念する大谷翔平投手(22)がいない後半戦のローテーションで光を放つ。最大11・5差からの逆転優勝へ、最短で27日にマジックナンバー「24」がつく。
9回2死一塁。増井が清田を151キロ直球で二ゴロに抑えた。見慣れた光景だが景色が違った。「これは自分のゲーム。支配している感じがした」。ストッパーから転向4戦目で果たした5安打での初完投。5勝目は、チームを首位に立たせる大きな勝利になった。
「ストライクゾーンで勝負する」。心に誓い、腕を振った。4回は無死一塁からデスパイネを150キロ直球で見逃し三振、清田は152キロの直球で二ゴロ併殺。7回2死から連打で1点を失ったが、なお二塁の場面ではプロ通算83セーブの礎である宝刀フォークで根元から空振り三振を奪った。抑えのときは「コーナーを狙いすぎていた」という。思い出した攻撃的なスタイル。最後の清田には152キロを含む150キロ台4球を投じた。隙のない110球だった。
ストッパーとして不振が続いた前半戦。栗山監督から球宴明けから先発転向を通達された。6年ぶり。「どうしようと思った」と心は揺れたが、「今シーズンは先発でやり抜く」と切り替えた。毎年恒例の家族との初詣。今年の正月は「増井」が「上がる」ようにと東京都港区の増上寺を選んだ。その御利益はてきめんだ。その右腕でチームまで首位に押し上げた。
増井の先発転向は大谷に打者専念という相乗効果をもたらした。右手マメをつぶした影響で先発復帰を見送る二刀流は、この試合こそ無安打に終わったが前日の同戦(同)まで10試合連続安打。日本人チームトップの19本塁打で首位浮上の原動力になった。前日は試合前にブルペン投球を行い、「今の状態でも十分(状態は)できている」と話したが、「先発陣が不足しているわけではないので打席に入っている」とバットに集中する。
「勝利球はとりあえず自宅に飾ります」と増井。スタンドで見守る家族の前での躍動だった。大谷は「先発が苦しくなったらカバーしたい」と話したが、増井がいれば当分は打者に専念できる。
6月19日時点での最大11・5ゲーム差から鷹を捉え、3度あったマイナス0・5ゲーム差をついに“逆転”した。栗山監督は「うちは勝ち切るだけ。もう行くしかない」。残りは28試合。4年ぶりの優勝へ向けて走るだけだ。 (君島 圭介)
(スポニチアネックス)
ついに首位浮上。
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