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菅官房長官は一貫して、前川喜平前文科事務次官がリークしたとされる「総理のご意向文書」を「まったく怪文書みたいな文書」と切り捨て、再調査に応じる姿勢も一切見せなかった。
「官邸内からも菅官房長官の対応を不安視する声が上がっていました」
とは、政治部デスク。
「とりわけ、今井総理秘書官は“長官が熱くなっちゃうと危機管理上、良くないんだよね”と不満を漏らしていた。再調査に方針転換する前日の8日にも番記者相手に、菅批判を繰り広げていました。曰く、“菅さんは感情的になっていて、おかしいよ”“俺も前川のことはムカつくけど、あんな言い方をしてはいけない”と。続けて、“総理や菅さんには、再調査して全部オープンにすべきだと言ったんだ”と明かしたのです」
今井総理秘書官の主張が功を奏したのか、安倍総理は直々に、松野博一文科相に対し、「総理のご意向文書」について再調査の指示を出した。つまり、菅官房長官は外されたというのだ。
■成功体験
これまで、“政権の守護神”“策士”などと呼ばれた菅官房長官だったが、なぜ、加計問題では戦略を誤ったのか。
「官邸における菅官房長官の権力の源泉は、なによりも官僚組織を掌握しているということでした」
とは、別の永田町関係者である。
「官僚の幹部人事を一手に握る内閣人事局を率いる立場に就き、官僚の首根っこを抑えつけてきた。だからこそ、楯突くものはいませんでした。しかし、前川前次官は猛然と反旗を翻し、安倍政権を攻撃してきた。菅官房長官とすれば、飼い犬に手を噛まれたようで怒り心頭に発したに違いありません。さらに、逆らったらどうなるかを他の官僚に見せつけるためにも、前川前次官を徹底的に潰すしかなかったのです」
挙げ句、菅官房長官の打った手が、出会い系バー通いをリークしたり、天下り問題のときには辞任する意向を示さず、地位に恋々としたなどと暴露する個人攻撃だったわけだ。しかし、あまりに強権的過ぎると批判を浴び、完全に裏目に出てしまったのである。
政治アナリストの伊藤惇夫氏が解説する。
「菅さんは成功体験に囚われ、加計問題の対応を誤ったという側面がある。それは、森友問題で安倍総理が追及されたとき、森友学園の籠池泰典前理事長は悪いヤツだという情報を流し、危機を回避できたことです。要するに、個人攻撃による印象操作。同じ手口で危機を乗り越えようとしたものの、籠池さんと前川前次官では発言の重みが違いすぎました」
安倍総理の再登板以来、歴代最長の1500日以上にわたって政権の中枢に携わってきた菅官房長官。しかし、加計問題への対応の失態で、安倍総理との間にすきま風も吹き始めた。
前出の政治部デスクによれば、
「9月の内閣改造では官房長官を外されるかもしれません。菅さんは以前から、ポスト安倍へのステップとして幹事長の椅子を狙っていた。でも、いまは二階さんが幹事長の座を譲ることはないですから、無役に転落ということもあり得ます」
“影の総理”が、ただの政治家に成り下がるか。
特集「『結婚30周年』記念日の夜に主治医が私邸に駆け付けた! 『安倍総理』深更の重大変調」より
「週刊新潮」2017年6月22日号 掲載
対応を誤って、能力の無さが露呈してしまった。
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