衆院が解散され、各党は事実上の選挙戦に走りだした。
2年近くにわたる新型コロナウイルス禍で経済は深く傷つき、国民生活は疲弊している。4年ぶりの総選挙は、感染症の流行を収束させ、私たちの暮らしを立て直す重要な役割を誰に託したらいいのか見極める絶好の機会となる。
出口の見えないコロナ禍に、政治も大きく翻弄(ほんろう)された。政府の陣頭指揮に当たった2人の指導者は対応にてこずり、わずか1年ほどの間に相次いで退陣に追い込まれた。自民党は目前に迫った衆院選を乗り切るため、新しい「顔」として岸田文雄首相を選んだが、「令和版所得倍増」をはじめとする岸田氏の独自政策は、党の公約にほとんど反映させなかった。
立憲民主党の枝野幸男代表は、いったんはたもとを分かっていた勢力と再結集を果たし、衆院で100人を超す規模を回復させた。さらに、小選挙区で共倒れを防ごうと、政策的に距離がある共産党とも手を組んだ。勢力拡大に布石を打つ過程で、枝野氏はもともと否定的だった消費税減税の争点化にかじを切った。
首相が中間層の拡大に向けた「分配」を唱えたことで、臨時国会はさながら分配のアピール合戦となった。底流には、9年近くに及ぶ経済政策「アベノミクス」が所得格差の広がりを防げなかったという共通認識がある。一方で多くの党は、大盤振る舞いの「借金頼み」を隠そうともしない。難局の克服が急務とはいえ、将来世代へのつけ回しを避けるという視点はなおざりになっている。
こうした対応を見るにつけ、選挙戦を勝ち抜くための目先の都合が優先され、丁寧で持続可能な政策立案が二の次になっている印象は否めない。有権者は投票に当たり、各党の主張に耳を傾けつつ、それが信頼に足る言葉なのかどうか、過去の言動と併せて厳しくチェックする必要がある。
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所得格差拡大の経済政策と国民に説明責任を果たさない自民党をどう評価するかでしょうか。
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