今季、全米を魅了した二刀流の去就に早くも注目が集まっている。
日本時間4日のマリナーズとのレギュラーシーズン最終戦を前に、今季の総括会見をしたエンゼルス・大谷翔平(27)は「より多く試合に出られたというのは単純に楽しかったですし、それだけ試合に貢献できる頻度が高いということは選手としてもやりがいがあると思うので、すごく楽しい1年だった」と満足そうに振り返った。
今季の活躍から、シーズン終盤には複数の米メディアが大谷の去就に注目。今季最終登板となった先月27日のマリナーズ戦後、低迷するチームに対して「このままでは(来季も)勝てない」と不満を表し、エンゼルスへの思いを口にしながらも「それ以上に勝ちたいって気持ちの方が強いですし、プレーヤーとしてはその方が正しいんじゃないかと思います」と移籍願望とも取れる言葉を口にした。それだけに、エンゼルスは大谷がFA権を取得する2023年オフまでに二刀流と長期契約を交わすと予想する記事も少なくなった。
この日、大谷はエ軍との契約延長について聞かれると「この4年間、一番近くで支えてもらった球団ではあるので、オープンな気持ちで話すと思います」と前向きに話し、さらに「(今オフは)いろんな補強があると思うんですけど、来年一年、どういう選手とできるのかな、というのも楽しみにしています」と球団への愛着も口にした。
今季は1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」こそ逃したが、ルースにも引けを取らない働きを見せた。投げては23試合、計130回3分の1で9勝2敗、防御率3.18。打っては155試合で537打数138安打の打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁。本塁打王を獲得したロイヤルズ・ぺレス、ブルージェイズ・ゲレロ(ともに48本塁打)の2人と最後まで熾烈なタイトル争いを繰り広げた。二刀流としてのチームへの貢献度の高さから本塁打王を争ったライバル2人を抑えてア・リーグMVPの最有力候補に挙げられている。リアル二刀流で結果を残し、有力視されるMVP受賞なら大谷の市場価値が高騰するのは必至だ。
FA前の囲い込みは可能性十分
「エンゼルスは資金力が豊富な球団だけに早ければ今オフ、遅くとも来季途中までには大谷サイドに契約延長をオファーするでしょう」とスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。 「今年2月に2年総額約8億9000万円で新たに契約を交わしましたが、今や大谷はメジャーリーグどころか米プロスポーツを代表するスーパースター。戦力としてはもちろん、集客や球団ビジネスの目玉になる二刀流をFA前に囲い込むことは十分に考えられます。過去にMVPを受賞した選手の提示内容を見ると、ベッツ(ドジャース)が12年総額約390億円、ハーパー(フィリーズ)が13年総額約368億円と300億円を超える金額で合意しています。仮に今オフ、大谷が契約延長すれば、年俸4000万ドル(約44億円)の8年総額3億2000万ドル(約350億円)規模の条件になるのではないか」 大谷は来年の7月5日で28回目の誕生日を迎える。今年2月に14年総額約360億円の長期契約を結んだパドレス・タティス内野手(22)ら20代前半の選手とは異なり、10年を超える長期契約は望めない。フィジカル面の負担が大きく故障のリスクも高い二刀流だけに、エ軍は大谷との契約に「保険」をかけるという。 ■故障リスクを考慮し投手は出来高に 「大谷が肩、肘を故障して投げられなくなることを考慮して、投手としての年俸は1500万ドル(約16億6000万円)ほどに抑えて、先発試合数、投球イニング数に応じた出来高払いを盛り込んだ契約になると思います。16年に前田(現ツインズ)がドジャースと交わした出来高契約のように、インセンティブをすべてクリアすれば満額を手にできる内容になるとみられます」(友成那智氏) かつてルースを宿敵ヤンキースに放出したレッドソックスは「ルースの呪い」にかかり、長らく世界一から遠ざかった。エ軍が大谷の流出を許せば、二刀流の呪縛に苦しむことにもなりかねない。
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大型契約か、大谷の呪いか。
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