岸田首相も「見ていない」
「私自身は見ていない」――。岸田首相も甘利幹事長の任命にあたり、疑惑の調査報告書を確認しなかったことを国会で認めた。11日の衆院本会議の代表質問で、立憲民主党の辻元清美副代表の質問に答えたもの。
辻元氏は「報告書の公表」や「政治倫理審査会での説明」の指導を求めたが、岸田首相は「説明責任の在り方は政治家自ら判断すべき」「政倫審も国会で決めること」と他人事を決め込んだ。
問題の報告書とは、URを巡る「口利きワイロ疑惑」について、甘利氏が独自に作成したと言い張っているものだ。甘利氏は2013~14年に千葉の建設業者から大臣室などで計2回、計100万円の現金を上着の内ポケットにしまったほか、地元事務所も現金500万円を受領していた。
16年1月の大臣辞任会見で甘利氏は「東京地検特捜部の元検事の経歴を持つ弁護士に調査を依頼した」「引き続き調査を進め、しかるべきタイミングでご報告をさせていただく」と言ったきり、今に至るまで、調査報告書を公表していない。
立憲、共産、国民の野党3党は「甘利幹事長あっせん利得疑惑追及チーム」を発足させ、調査を担当した弁護士の氏名と報告書を明らかにするよう公開質問状を甘利事務所に送付。その回答は「私自身が事実関係を把握するために元検事の弁護士に第三者的立場から客観な調査を行わせたもので、公表を前提にしていない」とし、公表を拒否した。
■過去には特捜OBを「私も知らない」と発言
本人も忘れたかもしれないが、実は5年8カ月余り前の辞任会見で甘利氏はこう語っていた。
「その東京地検の人にですね。これ私、誰だか知らないんです。接触できませんから。知りませんから。特捜の経験者に全部調べてもらっています」
特捜OBはどこの誰なのか。甘利本人でさえ「誰だか知らない」とは、その存在すら怪しくなってくる。こちらは本物の元特捜検事である郷原信郎弁護士が言う。
「自民党幹事長として、原資は血税の政党助成金を配分する絶大な権限を握りながら、政治とカネの疑惑がくすぶり続ける。説明を尽くさなければ、国民は安心できません。甘利氏が盾に用いる『不起訴処分』も、あくまで検察が独占する公訴権を行使しなかったに過ぎず、その理由も不明のまま。事件の当事者である甘利氏の説明だけで納得しろというのはあまりにも乱暴です。これ以上、追及されたくなければ、特捜OBに依頼したとする調査報告書を公表すればいい。できないのなら、公表に堪えうる調査をしていないか、そもそも報告書自体が存在しないかのどちらかです」
甘利氏は11日に自身のツイッターを約2週間ぶりに更新。〈自民党幹事長としての私の断固たる決意です〉として約2分の動画で自身が計画を主導した研究基盤を構築するための10兆円規模の「大学ファンド」を自賛し、こう訴えた。
「日本から世界を変える。技術やソフトやシステムやみんな日本から湧き出てくる。そういう国にしたい」「日本はこんなもんじゃないぞ!」
甘利氏の口から聞きたいのは「日本スゴイ論」じゃない。説明責任を果たさない限り、岸田政権の支持率に響く無間地獄。どんな顔で衆院選を仕切るのか。
*************************************************************
口利きワイロなのか、政治献金なのか、結論は出ているけど、きちんと説明責任を果たさない甘利氏、自民党を、国民は信頼できないでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿