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事故から5日目になって初めて公の場に姿を現した責任者は、3度にわたり床に膝をついて謝罪した。北海道・知床半島沖で乗客乗員計26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ ワン)」が浸水した事故で、観光船を運航する「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)が27日に開いた記者会見。謝罪の中にも「最終的には船長判断」「客の要望もあった」と責任を転嫁するような発言が目立った。乗客をよく知る人からは「荒天が予想できたのになぜ出航したのか。会見でも分からなかった」など疑問や憤りの声が相次いだ。【北村秀徳、山田豊、最上和喜】 北海道斜里町のホテルで開かれた記者会見は予定から1時間あまり遅れて始まった。会見に先立ち開かれた乗客家族への説明会が長引いたためという。桂田社長は、黒のスーツに赤のネクタイ姿で会見場に入った。視線を下に落としながらもしっかりした足取りで中央に立ち、「この度はお騒がせして申し訳ありませんでした」と絞り出すように謝罪。その後、座り込んで約10秒間床に手をつき、頭を付けた。立ち上がってこれまでの経緯を説明した後、再び土下座した。 会見前に開かれた家族への説明会は紛糾したという。同席した斜里町観光協会の担当者によると、桂田社長は謝罪を繰り返したが、出席者は「資料が足りない」「なぜ出航したのか」「遺族の気持ちを考えたことがあるのか」などと声を荒らげ、納得できない表情で会場を後にしたという。会見の質疑応答冒頭、家族の反応について聞かれた桂田社長は沈黙後、「やり場のない感情も含め、私としては精いっぱいそれを受け止めるだけになってしまった」などと釈明した。 事故が起きたのは23日だったが、会見は5日目にようやく開かれた。桂田社長はその理由を「まずは被害者家族への対応と救助活動を第一に考えた」「私一人の力ではうまく対応できなかった」と説明した。 事故の原因に関する質問には「私の至らなさ」と繰り返した。その一方で、事故当日に「海が荒れたら引き返す条件付きで出航を指示したのは社長か」と問われた際は、いったん「そうです」と答えながら「基本的にどの会社も最終的には船長判断」と話すなど発言は揺れた。 同業他社や漁師が出航しなかった事故当日になぜ船を出したのかを問われると「お客様もやっぱり、このような先端まで来て、ちょっとでも走ってほしいという要望がある」「(客が波による揺れを)体感して『(もう港に)帰ってくれ』みたいな気持ちになって、納得していただける方法を取っていた」と、乗客の意向も理由に挙げた。「波浪注意報が出ている中、判断を間違えたのでは」「安全管理がずさんだった認識はあるか」という質問には「結果的に……」という表現を繰り返し、記者から「事故が起こっていなければいい、という認識なのか」と問われる場面もあった。 質問に桂田社長がいらだちをのぞかせる一幕もあった。同社では5年前に観光船の事業を引き継いだ当時から在籍していたベテランスタッフが、会社を去っていた。新しいスタッフの技術不足が、事故の背景にあったという指摘も出ている。「解雇したのか」と問われると「解雇したわけではありません」と強い口調で否定した。 2時間半に及んだ会見は、桂田社長がみたび頭を床に付けて謝罪し、終了した。
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すべてを亡くなった船長の責任にして、終わりにしたいのでしょうか。
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