配信
【ジュネーブ=森井雄一】ロシア軍が1か月以上も包囲を続けるウクライナ南東部マリウポリのワジム・ボイチェンコ市長が15日、読売新聞のオンライン取材に応じた。市民の退避が難航する中で「約4万人が露軍に連れ去られた」と語り、民間人の殺害や人権侵害が横行する街の窮状を訴えた。
ボイチェンコ氏によると、マリウポリは街の約6割が露軍に占領され、露軍の攻撃で2万人以上が殺害された。露軍は、退避する市民が乗るバスを射撃したり、検問所で追い返したりするなど妨害を繰り返しており、「10万人以上の市民が依然として取り残されている」と明かした。
露軍に連行された市民は、兵士らに尋問されたり、スマートフォンの通信履歴を調べられたりした後、一部はシベリアに送られ、強制労働させられているという。
陥落が近いとの分析もあるが、ボイチェンコ氏は、「ウクライナは多くの国に支援されている。露軍には負けない」と力を込めた。
一方で、ワジム・ボイチェンコ市長は「プーチン(露大統領)や露軍に、必ず戦争犯罪の責任を取らせる」と訴え、証拠収集を始めていることも明らかにした。
マリウポリでは3月、産科病院や、大勢の住民が避難する劇場が攻撃されて多数の死傷者が出た。ボイチェンコ氏によると、ほかにも露軍の戦車が市民や民家に向けて砲撃する動画などを入手しているといい、「証拠はたくさんある。間違いなく悪者を罰することができる」と自信を見せた。
マリウポリ市議会によると、露軍は制圧地域で、住民に遺体の埋葬を禁止したり、すでに埋葬された遺体を掘り起こしたりしているという。禁止の目的や遺体の搬送先は不明だが、「あらゆる方法で、戦争犯罪の痕跡を隠滅しようとしている」と指摘する。
露軍は当初、主に歩兵部隊でマリウポリを攻めてきた。ウクライナ軍の反撃を受けると、ロケット砲や火炎放射器を使うようになった。それでも攻略が行き詰まったため空襲を始めた。30分ごとに爆弾を落とされるような状態が、約2週間続いたという。
ボイチェンコ氏は、「露軍はそもそもマリウポリを(無傷で)獲得するつもりだった。簡単に陥落できないとみると、街を全て破壊しようと決めたようだ」と指摘する。インフラ施設の9割が露軍に破壊され、市の試算によると、被害額は120億ドル(約1・5兆円)に上るという。
包囲が続く市内では、水や食料が不足している。ウクライナ側が支援物資を届けようと近付いても、「露軍が全部奪ってしまう」といい、一部はロシア側の人道支援だとウソをついて市民に配っているという。
市内ではインターネットなどの通信が遮断されている。「市民が事実を知ることができず、それに乗じて露軍がプロパガンダを発信している」ことが、結束を乱しかねないと危惧する。
ボイチェンコ氏は、「プーチンが狙っているのはウクライナだけではない。ウクライナが負ければ、他の国々も負ける」と警鐘を鳴らし、国際社会に支援を訴えた。
**************************************************************
ロシアの無差別攻撃で、2万人以上を殺害したロシアのジェノサイドを許してはいけない。
0 件のコメント:
コメントを投稿