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3月22日に起きた東京の電力危機では、日本の脆弱なエネルギー体制が露呈し、原発の再稼働を支持する声もわずかに高まった。もしそれが実現したら、世界の地政学にも影響を与えると、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は分析する。
東京で停電が起きていたほうがよかったのか
3月末、ある企業幹部は、東京が電力危機によって一時的に停電していれば国益につながったかもしれないという考えを声に出した。彼は明るいレストランで、東京の電気で光り輝くスカイラインを背に座っていた。 3月16日の大地震後、東京電力管内と東北電力管内では電力が逼迫し、3月22日には電力消費削減への協力が求められた。 しかしもし東京が停電していたら、日本の抱えるエネルギーの脆弱性がはっきりと見せつけられたことだろう。厳しいことだが、世界は、第3位の経済大国の日本にエネルギーを供給する義務を負っていないのだ。 その企業幹部の主張はこうだ。もし停電が起きていれば、その非常灯だけのついた薄暗いなかで、国内政策の不備と地政学的な混乱の重なりを見せつけられ、エネルギー安全保障が見直されるきっかけに確実になっただろうと。 ロシアのウクライナ侵攻で緊迫している今、停電によって国民の支持が広がっていれば、日本は巨大な原子力発電所の再稼働を加速させることができただろう。 もしそうなれば地政学的なインパクトは非常に大きいだろうと、日本政府のエネルギー分野のアドバイザーは言う。日本は液化天然ガス(LNG)の世界2位の輸入国であるが、原発再稼働によって国内のLNG需要を減らすことができれば、その分を他国に回せる。そうすればヨーロッパのロシアへのエネルギー依存と、それによる力関係はおそらく変化し始めるだろう。 3月に停電を回避するために行われた急な対策は、国民の意識と原子力発電に対する政治的スタンスに長期的な影響を与えたのだろうか。 その朝、東京の住民は季節外れの寒さと警報に目覚めさせられた。市民が一丸となって取り組まなければ電力が不足し、午後には何百万もの家庭の電気が消えてしまうと告げられたのだ。警報によって、東京の人々は良心や公共心、携帯電話の充電やお茶を入れる必要性とのリアルタイムな戦いに駆り立てられた。 朝食の頃にはトースターを使った家族を叱りつけ、正午までにはキャンプ用のガスボトルが店から消えていた。東京電力管内の電力の使用率はオンラインで即時に示され、人々の節電努力の程度、成功と失敗の境界線が映画のように提示された。そして午後のお茶の時間は過ぎたが、幸運にも電気はついたままだった。
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欧州のためにも、環境にやさしい原発を再稼働すべきでしょう。
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