英国メディアは12日、ロシアが隣国フィンランドとの国境に向けてミサイルシステムを含む軍事装備を移動しているとされる映像を報じた。映像が事実であれば、北大西洋条約機構(NATO)加盟を検討するフィンランドを威圧する動きだ。ロシアはウクライナ侵攻とともに、自国領土の東西で近隣国に対する軍事的威嚇を強めている。
映像は11日夜に軍事専門家のツイッターなどで公開された。露軍のミサイルシステム2基などが露国内の道路を移動し、フィンランド国境やフィンランド湾に向かっているとしている。英紙のデーリー・メール(電子版)やミラー(同)などが報じた。このミサイルシステムは艦艇などを破壊する機能を持つとみられるという。
フィンランドとスウェーデンは今年夏にもNATOへの加盟を申請すると報じられている。ペスコフ露大統領報道官は11日、両国の動きは欧州に安定をもたらさないと反発していた。英軍事専門家は映像について「ロシアは西側諸国に再び警告を発したようだ」と分析している。
米国防総省のカービー報道官は12日、露軍のフィンランド国境に向けた移動情報について「(事実を)確認するものは何もない」と述べるにとどめた。
ロシアは、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟は「深刻な軍事的・政治的結果をもたらす」と恫喝(どうかつ)してきた。露軍は3月2日、フィンランドと合同軍事演習をしていたスウェーデンの領空を爆撃機など4機で侵犯。同国メディアは、そのうち2機が核兵器を搭載していたと報じた。
今月8日には露機がフィンランド領空を侵犯した可能性があると現地メディアが報じている。
ロシアは米軍基地が点在する日本も威嚇している。
露機とみられるヘリコプター1機が3月2日、北海道沖で日本領空を侵犯。同10日から11日にかけては露軍の艦艇10隻が津軽海峡を通過した。露軍は宗谷海峡や対馬海峡でも艦艇を通過させ、北方領土では3月25日と今月1日に軍事演習を行うなど軍事力を誇示している。
露国家安全保障会議のメドベージェフ副議長(前大統領)はウクライナ侵攻をめぐる対露制裁を「侵略行為とみなすことができる」と批判するなど、日米欧への敵対姿勢を強めている。(ロンドン 板東和正、外信部 坂本一之)
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侵略国ロシアの威圧、威嚇、脅しに屈してはいけない。
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