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2015年6月2日火曜日

藤川球児 自ら高知入団打診…1億超え年俸から月給10万円

 南国・土佐に球児が帰ってくる――。独立リーグ・四国アイランドリーグplusの高知は1日、レンジャーズを5月に自由契約になった藤川球児投手(34)の入団を発表した。古巣・阪神などが獲得に動く中で藤川は生まれ故郷でもある地元でのプレーを決断。メジャーから日本国内の独立リーグに新天地を求めるという異例の形で火の玉ストッパーが、3年ぶりに日本の土を踏む。藤川は8日に高知市内で記者会見を行う。

 あふれる郷土愛と、地元に貢献したいとの強い思い。この日、「志」との題名で自身のブログを更新した藤川は、「僕と妻の生まれ故郷の高知で、未来のスーパースターになるチャンスを持った子供たちに、僕が投げる姿を見て今後の夢につなげてもらいたい。高知から野球人生を再スタートすることに決めました」などと、つづった。

 レ軍を自由契約になり、大リーグの球団に加えて古巣・阪神からもオファーが届いた。ただ、阪神側は13年にじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)した右肘の状態を考慮して本職の救援ではなく、先発転向も視野に入れていた。そうした起用法などの条件面で折り合わず、藤川は地元でプレーすることを選んだ。

 実は今回の入団は藤川サイドが打診したもの。「高知でプレーして地域貢献したい」と自ら申し出たという。過去、メジャーからブランクを置かずに直接、日本の独立リーグに移籍した選手はいない。今後は正式契約へ向けて条件面などを詰めるが、藤川は今季レ軍と年俸100万ドル(約1億2400万円)プラス出来高で契約していた。しかし、「うちの選手は平均で月10万円。今までの彼の額に比べたら無報酬のようなもの」(球団関係者)と金銭面では雲泥の差がある。それでも藤川は「お金じゃない。仮に(自身の加入による観客増などで)収益が増えたら何%かは野球の普及に使ってほしい」との要望も伝えているという。

 心境の変化は13年に手術を受けた後のリハビリ中に生まれた。キャッチボールの距離が徐々に延びる中で、「たった5メートル投げられるようになって喜んでいた。元気になったら、投げる喜びを一番に感じられる場所で腕を振りたい」と思うようになったという。その場所こそが地元の高知。高知商では1学年上の兄・順一氏とのバッテリーで甲子園に出場し、阪神時代には自主トレを行った。高知競馬では自身の名前を冠した協賛レースを開催し、チームは順一氏がかつてゼネラルマネジャーを務めた縁もある。

 リーグは5月で前期が終了。後期が始まる8月まではオフとなる。そのため、移籍期限が7月までのNPBへの復帰は現実的ではないが、来年以降は今後の活躍次第で復帰を見込める。「高知の夏が大好き。懐かしい高知の匂いが待ち遠しい」と語る藤川。愛する地元で出直し、剛球を復活させる。

 ▽四国アイランドリーグplus 05年に四国4県の球団で発足した日本最初のプロ野球 独立リーグ。当初の名称は 「四国アイランドリーグ」だったが、08年シーズンから福岡と長崎が 参入し「四国・九州アイランドリーグ」に。11年から九州の参加球団がなくなり三重が参加し5球団で現行の名称に変更。12年に現在の四国4球団に戻った。リーグ出身のNPB選手にはロッテ・角中や中日・又吉らがいる。

 ◆藤川 球児(ふじかわ・きゅうじ)1980年(昭55)7月21日、高知市生まれの34歳。高知商では2年夏の甲子園に出場。98年ドラフト1位で阪神に入団。05年に中継ぎとしてリーグ最多の80試合に登板。07年にはプロ野球記録のシーズン46セーブ。13年にカブスに移籍。今季はレンジャーズでプレーした。05、06年に最優秀中継ぎ投手、07、11年に最多セーブ。1メートル83、86キロ、右投げ左打ち。
(スポニチアネックス)

 野球人生再スタートで、結果を出して、来季はNPBか。

 

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