ページビューの合計

2015年6月23日火曜日

トランス脂肪酸全廃へ、年間2万人の心筋梗塞予防効果―米当局


 米食品医薬品局(FDA)は6月16日、トランス脂肪酸を”安全ではない食品”と判断し、3年以内に全廃するよう、食品加工メーカーなどに指示したことを発表した。トランス脂肪酸はマーガリンやドーナツ、フライドポテト、スナック菓子などによく使われており、心臓病になるリスクを高める可能性が指摘されている。今回の全廃で、米国内で年間1万~2万人の心筋梗塞を防げるとの試算もあり、関連の医学会からは称賛の声が上がっている。

3年間は製造工程変えるための猶予

 トランス脂肪酸は、牛肉や乳製品などに含まれる天然のものを除き、植物油や魚油を人工的に固める技術(水素添加)によってつくられる。こうしてできたものを「部分水素添加油脂(PHO)」と呼ばれ、マーガリンやショートニング、それらを使ったドーナツやケーキ、フライドポテトやスナック菓子をはじめとした揚げ物などに幅広く使われている。

 米国では2006年以降、食品にトランス脂肪酸が含まれる場合には表示することが義務づけられており、2003年から2012年にかけてトランス脂肪酸の消費量は78%減少した。しかし、米国医学研究所(IOM)はトランス脂肪酸の摂取を可能な限り減らすよう推奨しており、さらなる削減が課題となっていた。

 今回、全廃の対象となったのはPHOで、米国ではこれまで「一般的に安全(generally recognized as safe=GRAS)」な食品に分類されてきた。ところが、心臓病になる危険度を高めることなどが指摘されたため、FDAは2013年、暫定的な決定として「『一般的に安全』に該当しない」ことを発表。今回は、そのまま最終的に決定した形だ。

 食品メーカーには、PHOを使わない製造工程に変更するための対応期間として3年間が与えられる。それ以降は、FDAに申請して認可された場合を除き、食品にPHOを使うことは原則として禁止になる。

「米国民の健康における歴史的勝利」

 今回の決定を受け、米国心臓協会のナンシー・ブラウンCEOは同日、「米国民の健康における歴史的勝利」とする称賛のコメントを公表。「食品業界からトランス脂肪酸が消えれば、(米国内で)予防できる心筋梗塞で年間1万~2万件、心筋梗塞などによる死亡は同3,000~7,000件とする米疾病対策センター(CDC)の試算もある」と紹介している。
(読売新聞)

0 件のコメント:

コメントを投稿