◇監査報告書、署名偽造か
同会の事業には厚生労働省の補助金も充てられており、使い道に問題があれば調査するとみられる。ずさんな経理処理が行われていた形で、専門家は「公益法人として不適切」と指摘する。
公益法人は、公共性が高いなどとして内閣府(一つの都道府県内で活動する法人は所在地の都道府県)の認定を受けると、税制上の優遇措置を受けられる。この場合、年度終了後3カ月以内に決算書などを作成し、内閣府などに提出することが法令で義務づけられている。
ところが、内閣府や同会によると、12年度の決算書に計算ミスがあったほか、財産の増減の詳細を記した書類が添付されていないなどした。内閣府が決算書を出し直すよう求めているものの、15年末時点で最終的に修正した決算書は提出されていない。同会は13、14両年度の決算書を既に内閣府に提出しているが、12年度の修正内容を反映させる必要があるため、内閣府は13年度以降についても順次修正を求める。
さらに、14年度決算を「適正」と認定した15年5月19日付の監査報告書について、作成者の一人で同会の役員(監事)を務めていた税理士の署名が、過去の報告書の筆跡と異なる疑いが強まった。決算の妥当性などを記す監査報告書は、監事による作成が法令で義務づけられている。
同会の経理などの事務は事務局長を含む職員2人が担っている。旧厚生省OBの事務局長は毎日新聞の取材に「私どものやり方にお粗末なところがあった。なかなか(修正を)やっている時間がないことがあり、段々遅れた」と話している。
また、問題の監査報告書の筆跡について、事務局長は「(税理士と)違う」と認め、「税理士が入退院を繰り返していたので、税理士の弟に(署名を)頼んだかもしれない。詳しいことは覚えていない」と説明した。
事務局長によると、税理士は15年夏に死去したが、登記上は監事のままになっている。
全国里親会が現時点で公表している14年度決算書によると、一般会計と特別会計を合わせた収入総額は約9000万円。内閣府の担当者は取材に「事実関係を確認する」と語った。
◇厚労省から補助金
里親制度は、虐待などが原因で親元で暮らせない子どもたちを、都道府県などの委託を受けた一般家庭で育てるもの。子どもは施設より家庭的な環境で養育する方が望ましいとして、厚生労働省は近年、制度拡充を図る方針を打ち出している。
2012年度には、里親支援に向けた調査研究事業のための補助金を設け、全国里親会に対し、別の団体を経由して年間1400万円程度を随意契約で支払っている。
一方、全国里親会を巡っては、12~13年度に同事業の研究員として働いていた女性が、職場でパワーハラスメントを受けたとして同会などに約300万円の賠償を求めて14年に提訴している。全国里親会側は反論し、さいたま地裁で係争中。
元会計検査院局長の有川博・日本大教授(公共政策)は「適正な決算書を提出できず、仮に監査報告書も虚偽ということになれば、公益法人として不適切なことは明らか」と指摘する。
【ことば】全国里親会
1971年3月の設立で、2011年12月に公益法人に認定された。各地の里親らが入会する都道府県・政令指定都市単位の地方里親会の代表者らが役員を務め、運営費は地方里親会などからの会費や民間団体からの助成金などで賄われている。15年度の収入総額は予算ベースで約8600万円。
(毎日新聞)
税金の無駄遣いで、公益法人取り消しだろう。
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