テント村はアルピニストの野口健さん(42)が4月24日、車中泊対策として設置し、野口さんの活動に賛同した岡山県総社市や四国の自治体が共同で管理運営する。町が所有する陸上競技場に156張りあり今月17日現在、143張りが使用中だ。夜だけテントで寝泊まりしたり、日中テントで過ごし夜は車中泊するなど利用方法はさまざまだ。当初から1カ月間の予定で、延長する場合は町と野口さんが話し合う約束をしていた。
町は12日、野口さんに延長するかどうか確認しないまま月内での廃止を決めた。さらに利用者に6カ所の避難所を示し、どの避難所を選ぶか希望調査を始めた。町の担当者は「大雨が降ると水浸しになる上、既にテント内の温度が37度に達した日もあり熱中症が心配だ。利用者の健康を考えると、これ以上続けるわけにはいかない」と説明する。
これに対し、野口さんは「ヒマラヤでも使用するテントで、風雨対策は万全だが暑さは問題。梅雨明けまでは大丈夫だとみていたが、やむを得ないのかもしれない。ただ、テントがなくなると再び車中泊が増えるのではないか」と心配しており、代替地を探しているという。
夫(39)と子供3人の家族5人で利用する女性(31)は、2週間の車中泊後、テント村に入った。テント村から避難所への移動は「小さい子供が静かにできるとは思えない」と不安が募る。夫は「テントは足が伸ばせる。やっと落ち着いてきたところなのに。また車中泊に戻るしかないのか」とうなだれた。また、娘と孫の3人で避難する女性(67)は「余震があるので、建物の中で寝るのが怖い」と訴えた。
◇御船町は継続
一方、熊本県御船(みふね)町が管理する「ふれあい広場」(同町辺田見)では、町内外の28人で作る任意の地域おこし団体「御船しあわせ日和実行委員会」がテント50張りを設置し、18家族が生活している。
テントの管理や運営は実行委が担当。メンバーで町内の会社員、広瀬哲也さん(45)によると、利用者に「自己責任が原則」「テント周辺は自分で整理整頓する」などの誓約書を提出してもらい、自力で生活できない高齢者などの利用は断っている。町からは11月末まで使用許可を得ている。
町の担当者は「避難所に集約したいが、多様なニーズに対応しきれないのも実情。選択肢の一つとしてテントもいいのでは」と話す。暑さ対策については、「実行委に任せている」としている。
妻と7歳、4歳、6カ月の子供3人とテントで生活する会社員、渡辺寿志(ひさし)さん(30)は「余震があるので、建物の中は子供が怖がる。テントでは安心しているようだ」と話した。【川上珠実】
(毎日新聞)
車中泊よりもテントが快適だろう。
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