会場のつくばカピオ(同市竹園)周辺は式典が始まる前から、暴走族を思わせる奇妙な車が爆音をとどろかせ、一部の新成人は「なめんなよ」「やってやるぜ」とすでに興奮状態。式典開始当初から、新成人数人が大声をあげて進行を妨害した。
新成人代表の誓いの言葉の後、五十嵐立青(たつお)市長が新成人に贈る言葉を述べている最中、会場から突然、「おい、五十嵐、覚えているか。オレはお前の運転手をしていたんだぞー」と声が飛んだ。
市長は「ありがとー」とにこやかに応じたが、市長のあいさつの間もステージに近づこうとした新成人数人が警備員や市職員らに制止されていた。
次に市議会の塩田尚(ひさし)議長のあいさつが始まると、羽織袴(はかま)姿の新成人1人がステージに駆け上がろうとして関係者に止められ、司会者がついに「これ以上、進行できません。式典を中止します」とアナウンス。この後も暴れていた新成人数人が制止されたり、説得されたりしながら会場外に出された。
式典再開は約8分後。会場はざわついていたが、議長のあいさつが再開され、来賓紹介や祝電披露などと厳かに進行した。
つくば市によると、ステージ上に来賓として石井啓一国交相(衆院比例北関東ブロック)がいたため、会場内には警察官が待機。昨年の水戸市の式典が混乱したことなどを受け、警察官は昨年より多い15人以上、民間警備員も昨年より増やしたが、混乱を防げなかった。
式典の混乱について、新成人の男性(20)は「多くの人が久しぶりに友達に会うことを楽しみにしていた。ほとんどの人は大人になる自覚も持っている」と憤りを隠せない様子。晴れ着姿の女性(20)は「両親が精いっぱい、私の晴れ姿を見ようと着物をそろえてくれたのに…」と唇をかんでいた。
逮捕者まで出た晴れのセレモニー。式典直後、五十嵐市長は「(式典が)中断したのは事実で、責任を取るのが大人だ」と述べた。
ただ、つくば市は8日、市長自身が7日朝に市内で乗用車を運転中、追突事故を起こしたと発表。けが人はなかったが、五十嵐市長は「安全運転を率先する立場でありながら、事故を起こして申し訳ない」とする謝罪のコメントを出した。
茨城県内では8日、39市町村で新成人の門出を祝う成人式が開かれた。県教育委員会によると、平成28年度の県内の新成人は2万9623人。前年度から739人増えたが、2年連続で3万人を下回った。つくば市の成人式で混乱が生じたが、新成人の逮捕者が出るなど昨年の式典が荒れた水戸市は大きな混乱もなくセレモニーを終えた。常総市など5市村では7日に式典が開かれた。
(産経新聞)
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