東大関・稀勢の里の初優勝が14日目にも決まる状況が出来上がった。西大関・豪栄道が休場し、不戦勝で1敗を守ると2敗の東横綱・白鵬は西大関・琴奨菊を下したが、東前頭10枚目・貴ノ岩、西同13枚目・逸ノ城が3敗に後退。14日目に稀勢の里が逸ノ城に勝ち白鵬が貴ノ岩に敗れると、場所後の横綱昇進も大きく引き寄せる初Vが実現する。
勝ち名乗りを受ける稀勢の里に、満員札止めの国技館から大歓声が降り注いだ。不戦勝の力士に歓声が起きるのは異例。拍手、指笛、「頑張れ、頼むぞ」。相撲ファンの期待が凝縮されていた。先場所まで4連敗中だった13日目に白星が転がり込み、21日にも初優勝を手にしようとしているが「まあ明日は明日で」と平常心を貫いた。
何度も期待を裏切り続けても、愛されるのはその人柄。地元・牛久市にある行きつけだった中華料理店・甲子亭も横綱昇進特別メニューを用意し、歓喜の瞬間を待つ。離れの個室で食事をしていた時だ。居合わせたファンの「ぜひ一目会いたい」という頼みを店主から伝え聞くと「いいですよ」と快諾。サインを書いて交流したという。観戦した横綱審議委員会の守屋秀繁委員長(75)も「不戦勝であれだけの拍手が起きた。普通ならブーイングだよ」と期待の高さを改めて思い知らされた。
明確な綱取り場所ではなく、昇進問題を預かる友綱審判部副部長(元関脇・魁輝)は2横綱の休場を理由に「昇進? 薄いのは薄いよね」と慎重姿勢。だが、守屋委員長は「先場所が終わった後と今では相撲界全体の流れが違う。(見解が)変わってもお許しいただきたい」と初Vなら横綱昇進の流れになりつつあることを示唆。さらに「星数を見たい人もいる。このまま行ってほしい」と意見が割れることも予想し、あと2勝を希望した。
賜杯争いは事実上一騎打ち。白鵬次第では千秋楽を待たず優勝が決定する。茨城・龍ケ崎市の母校・長山中、地元・牛久市役所では14日目、千秋楽のパブリックビューイングも行われる。1998年夏場所後の3代目・若乃花以来19年ぶりの和製横綱誕生へ、あと2番。「集中して明日やるだけ。優勝の意識? しっかり集中してやるだけ」と繰り返す稀勢の里。宿敵を倒し賜杯を手にすれば、綱への道が見えてくる。(秦 雄太郎)
(スポーツ報知)
運も実力だろう。
残り2勝で横綱になれるだろうか。
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