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2017年2月10日金曜日

WBC回避の大谷翔平が苦しむ足首痛 専門家が語る完治に必要はこととは?

「有痛性三角骨障害」と見られる大谷の故障、なぜ発症してしまったのか
 日本ハムの大谷翔平投手が右足首痛で3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を欠場することが決まった。その症状から「有痛性三角骨障害」と見られている。サッカー元日本代表MF中村俊輔(ジュビロ磐田)もかつて同じ痛みに苦しみ、除去手術を受けたが、この故障が発症するメカニズムについて、中村のパーソナルトレーナーを務める入船しんもり鍼灸整骨院の新盛淳司院長が解説してくれた。

「大谷選手の足首の怪我は、有痛性三角骨障害と見られています。三角骨とは、足首の距骨(きょこつ)という骨の後方にあります。すべての人にあるわけではなく、一定割合の人にしかありません。過剰骨と呼ばれたりもします。距骨の後側には、外側と内側に結節と呼ばれる隆起があります。一般的に外側の方が隆起が大きいのですが、通常は小学生の頃に距骨本体とくっつき一体化します。何らかの原因で癒合しないままになる場合があります。癒合しなかった状態が三角骨となり、その三角骨付近が痛むことが、有痛性三角骨障害と呼ばれます」

 新盛院長は耳慣れない症例についてこう解説した。そして、三角骨障害が起きる原因については「足首を急激にひねるなど一度に大きな負荷がかかったことによるもの。足首に過度なストレスが繰り返しかかり、オーバーユースにより痛みが起こるものがあります。繰り返しストレスにより、骨棘と言われる骨の先が尖った状態になり、周囲の組織を挟み込み、痛みが起きやすい状態になることもあります。サッカー選手やバレーダンサーや新体操の選手など、つま先を伸ばしてプレーをする競技に多く見られる症例です」と分析している。

 磐田移籍後も新盛院長がサポートすることになる左利きの名手、中村も同じ症例に苦しんだ。
中村俊輔は手術を決断、大谷は故障を乗り越えられるか
「中村選手も2015年シーズンの開幕前に除去手術を受けました。足首に関しては蓄積性の怪我ですが、キャンプ前の自主トレ段階では痛みはありませんでした。しかし、キャンプ中の激しい接触プレーで痛みが出ました。三角骨の骨棘と呼ばれるトゲが筋肉に突き刺さるという状態で、手術に踏み切りました。開幕には間に合わずに4月25日の湘南戦での途中出場での復帰となりました。

 大谷選手の場合、昨年の日本シリーズで痛めたということですが、その後も出場してプレーしていることを考えますと、その一度のプレーで負傷したとは考えにくい。足首の関節が緩いと大谷選手も語っているので、足をひねることは多かったのかもしれません。投手はボールを投げる際に軸足を回転させながら、つま先を伸ばすように蹴り上げる動作を繰り返し行います。その際にも三角骨周囲に過剰な負担がかかり、障害が進行していた可能性があります」

 大谷は160キロの豪速球を投げる際の右足の蹴り上げ動作が三角骨に負荷をかけていた可能性もあるという。

「骨折などを伴う急激な炎症の場合、歩行でも痛みがあるケースがあります。オーバーユースによる場合にはアキレス腱の奥の方に痛みを訴え、つま先立ち、つま先を下にして伸ばす動作をした時に痛みが増強するケースが多いです。周囲の筋肉や脂肪などの炎症が強い場合は、ランニング程度の動きでも痛みを伴います。

 治療はまずは保存療法が選択肢になります。固定をしたり、物理療法などを行い患部を安静にし、炎症を治めるようにします。数週間で痛みは治る場合が多いですが、再発を繰り返す場合は、手術が検討されます。手術は状態によりますが、骨棘を削ったり、三角骨を除去するケースが多い。復帰まで1か月~3か月くらいを要し、術後は良好な場合が多いので、大谷選手にはしっかりと完治させて、また素晴らしいピッチングを見せていただきたいですね」

 新盛院長はこう語った。まずは安静が必要だが、痛みが引かない場合、中村のように症状がひどい場合、摘出という選択肢になる。WBCを回避し、開幕に間に合うかも微妙とされている大谷だが、足首の故障を乗り越えることができるだろうか。

◇新盛淳司(しんもり・じゅんじ)【新浦安しんもり整骨院入船院】【新浦安しんもり整骨院今川院】【クローバー鍼灸整骨院】代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。ブリオベッカ浦安チーフトレーナーも務める。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

 手術しないで開幕に間に合うだろうか。

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