これまでのマレーシア警察の発表などによると、事件は13日午前9時ごろに発生。インドネシア人のシティ・アイシャ容疑者(25)とベトナム人のドアン・ティ・フオン容疑者(28)が、クアラルンプール国際空港第2ターミナルの自動チェックインカウンターに並んでいた正男氏を前後から挟みうちするように襲い、数秒の間に素手に塗った液体を正男氏の顔にこすりつけた疑いが持たれている。
女らは直後に近くのトイレで液体を洗い流し、タクシーなどで逃走。正男氏は当初は意識があり、空港内の診療所に歩いて行き診察を受けたが、その後、容体が悪化し、別の病院に搬送されたが同11時ごろ死亡した。これまでの司法解剖で、遺体に目立った外傷などは見つかっていなかった。
ある捜査関係者は毎日新聞に対し「2種類の薬物を混合させた可能性がある」と話した。米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は、毒性の低い二つの物質を正男氏の顔の上で混合させてVXを生成することが、仮定の話としてはあり得るとする米国の専門家の話を伝えた。
VXは「人類が作った化学物質の中で最も毒性が強い物質」とも呼ばれるが、VXになる前の二つの物質は毒性が低く、運搬も容易という。
一方、2容疑者への毒物の影響が軽いことから、事前に解毒剤を投与されて犯行に臨んだ可能性もある。
事件では北朝鮮籍の男4人が実行犯に指示したとみられる。4人は直後に飛行機で逃亡。マレーシア警察によると既に平壌に到着したとみられ、北朝鮮側に外交ルートを通じて身柄の引き渡しを求めている。他に在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官と高麗航空の職員を重要参考人として行方を追っている。北朝鮮の国家ぐるみの犯罪と立証されれば、マレーシア国内で化学兵器を使用した形となり2国間関係に深刻な影響を与えるのは必至だ。
(毎日新聞)
猛毒VXを使ったことで、単なる権力争いでは済まなく、北朝鮮の存亡の危機だろう。
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