【ソウル聯合ニュース】韓国軍当局は、北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏の「毒殺」に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がどのような形であれ介入した可能性を示し、今回の事件を北朝鮮が生化学物質を武器として使用できるという意志と能力を見せた事例だとみている。
マレーシア当局の捜査により、北朝鮮が暗殺に関与した証拠が次々と露見しているが、正男氏を死に追いやった毒物の正体は明らかになっていない。
韓国軍と情報当局は、北朝鮮が有事の際に生化学物質を生物兵器や化学兵器として転用できる技術と施設を備えていると把握している。
韓国軍の関係者は「北は40種近い生物兵器用の病原体と化学薬剤を保有している」と述べ、「金正男の暗殺事件はこれらの生化学物質を兵器化する意思があり、実際に行動できる能力を見せつけたものと評価する」と明らかにした。
韓国軍は北朝鮮がさまざまな種類の生物兵器を自家培養し、生産できる能力を備えており、2500~5000トンの化学兵器を貯蔵していると推定している。
政府系シンクタンクの韓国国防研究院(KIDA)が昨年発刊した資料によると、北朝鮮が保有している生物兵器用の病原体は13種で、7種の細菌(炭疽菌、ブルセラ、野兎病、腸チフスなど)と1種のリケッチア(発疹チフス)、3種のウイルス(天然痘、黄熱、流行性出血熱)、2種の毒素(ボツリヌス、T2トキシン)だ。
KIDAと韓国軍当局は「このうち兵器化が進んでいると推定されるのは炭疽菌、天然痘、ペスト、コレラ、ボツリヌスの5種」とし、「特に炭疽菌は致死率が高く、兵器化が最も有力視される細菌」だと説明した。
北朝鮮は平壌の国家科学院内の第1生物研究所、平城の微生物研究所、平安北道・枇? の細菌武器研究所、平安北道・定州の25号工場、平安北道・宣川の細菌研究所など17か所の生物兵器研究や培養・生産施設を運営中だと推定される。
KIDAの関係者は「北はさまざまな種類の化学兵器を大量に製造し、朝鮮半島全域で使用できる能力を保有している」とし、「化学兵器の保有量は米国、ロシアに続いて世界3位だ」と述べた。
また、北朝鮮が保有中と推定される化学薬剤は25種に上り、2種類の混合化合物による化学薬剤を開発している可能性もあると韓国軍は説明する。
韓国軍関係者は「北が保有中の化学兵器の散布手段は砲兵部隊による野砲と放射砲、戦略軍の各種ミサイル、空軍による航空機などさまざまだ」と述べ、「このような化学兵器の運用能力によって戦時に前・後方地域に同時散布が可能」だと説明した。
正男氏に使用された毒物が新種の物質である可能性が大きい点を考慮? ? すると、北朝鮮が無人機や特殊要員によってソウルなどの大都市に散布した場合、莫大な人命被害が出ても原因の追跡が困難になる。
一方、北朝鮮は2012年の金正恩政権の発足以降、シリア政府軍に対して化学兵器を輸出した可能性も提起されている。
米国防情報局の専任情報分析官を務めたアンジェロ州立大のベクトル教授は「北朝鮮は1990年代から弾道ミサイルや従来の兵器をはじめさまざまな武器をシリアに輸出したが、その中でも最も強力なものは化学兵器だった」と主張した。
(聯合ニュース)
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