無念さを断ち切るように大谷はバットを振った。室内ケージに入るとボールを置いたティー打撃を開始。100スイング近く30分以上打ち込んだ。球団OBで侍ジャパンの稲葉打撃コーチが見守る中、力強い打球を放った。約6日ぶりの打撃練習に「第1クールはこんな感じになるかと思います」。アップから別メニューで、ランニングやキャッチボールと軽めのメニューとなったが、徐々に強度は上げてきている。
前日31日に「右足首の骨棘(こっきょく)の痛み」のため、投手としてのWBC出場辞退を表明。「最悪こういうことになるだろうなというのは分かっていましたし、何パターンも考えてやってきたので、特に今、心境が変わるということはない」と平静を貫いた。しかし打撃練習中は「ダメだー!」「よっしゃー!」など大声を張り上げ笑顔を見せるなど、吹っ切れた様子。稲葉コーチも「『暗くなってもしょうがないので明るくしています』と言っていました」と大谷の気持ちを明かした。
最終的には野手としても辞退の見通し。この日のランニング中は何度かスピードを上げる場面もあったが、全力疾走はまだ先だ。栗山監督は「ちゃんと走れないと野球にはならない。下(半身)がしっかりしないと」と強調した。アリゾナ滞在中には紅白戦を含め実戦は3試合あるが、指揮官はそこでも打席に立つことに極めて慎重な姿勢。野手としても調整がままならない現状がある。
ただ、メジャーの評価は変わらない。キャンプ初日にはあいさつを兼ね4球団以上が球場を訪れた。中でもレンジャーズのジョシュ・ボイドGM補佐は「球団と本人が決めたことは理解できるし尊重されるべき。大事なことは細心の注意を払うことと、更なる故障を未然に防ぐこと。大谷には将来があるし、ファイターズにとってもね」と決断を支持した。
さらにメジャー全球団が欲しがる存在との報道について聞かれ「特別な才能の持ち主。モチロン!」と最後は日本語で実力を認めた。アリゾナで実戦登板はなく、今季、米国で大谷が投球を見せる機会はないが、すでに実力は証明済み。早ければ今オフにも実現するメジャー移籍において「投手欠場」で評価が下がることはない。今は痛みの再発を防止しながら、大谷は徐々にペースを上げていく。
(スポーツ報知)
調整遅れで開幕に間に合わないか。
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