稀勢の里の横綱昇進で祝福ムードに包まれていた角界に、突然の訃報が飛び込んできた。この日、間垣親方の遺体が安置された時津風部屋に力士、関係者が弔問に訪れ、モンゴルから来日した両親も号泣していた。しこ名に「モンゴルの広い空」と願いを込められた男は、寒空の下で旅立った。
容体が急変したのは30日午前だった。「呼吸が苦しくなった。救急車を呼んでほしい」と間垣親方は自宅で看病していた家族に伝え、都内の病院に搬送された。連絡を受けた時津風親方は午後2時半に病院で対面。「声をかけたら2回ぐらい目を開けた。呼吸が苦しそうだった」。親方、部屋の力士は午後10時頃に引き揚げたが、再び家族から連絡が入り病院に戻った。最期は家族だけが看(み)取り、午前3時頃に力士たちは部屋前で親方の遺体を迎えた。部屋頭の関脇・正代によると、「上がり座敷にご遺体を寝かせて、(弔問の準備が)終わったのは午前5時くらい」だったという。
間垣親方は現役だった15年秋場所後に悪性リンパ腫と診断された。同年10月から抗がん剤治療を始め、同年九州場所から5場所連続休場。20キロ近く体重が減り、髪も抜けたが、体調が安定するとジムでトレーニングを再開していた。だが当初半年の予定だった治療が1年に及び、「体力的にも弱ってきた」と昨年8月、丸刈り頭で引退を表明。放射線治療などで腫瘍が小さくなり日常生活ができるまでに回復したが、昨年10月末に体調が悪化。腰の痛みなどを訴えて自宅療養していた。
関係者によると、モンゴル出身の妹が付き添い回復に努めていたが、現役時代の化粧まわしを知り合いに贈呈するなど自身の病状を案じていたという。時津風親方(元幕内・時津海)は、「とても真面目で、面倒見のいい力士でした。突然の訃報で、残念で仕方ありません」とコメント。同親方によると故人は人に弱みを見せない性格で、「モルヒネを打ったら痛みに負ける」と投与を拒否していたという。遺体は1日夕方には都内に住む妹の自宅に移される。通夜、葬儀・告別式は時津風一門葬で執り行われる。
◆通夜・告別式 通夜は6日午後5時から、葬儀・告別式は7日午前11時30分から、いずれも回向院念仏堂(東京都墨田区両国2の8の10)。喪主は父のジグメド・アルタンガダスさん。
◆悪性リンパ腫 血液のがんの一つで、わきの下や首、太ももの付け根にあるリンパ節から全身に広がるリンパ組織内の細胞が悪性化していく病気。胃や大腸などの消化器官にしこりや潰瘍ができたり、肝臓や脾臓(ひぞう)など腹部の臓器や、気管や食道が腫れたりすることもある。初期症状は体がだるくなったり、38度前後の発熱が続くなど風邪に似ており、診断は非常に難しい。現在は抗がん剤などが発達しており、快方に向かう人も多い。
◆時天空 慶晃(ときてんくう・よしあき)本名同じ。モンゴル名はアルタンガダス・フチットバータル。1979年9月10日、モンゴル・ウランバートル市出身。2000年に留学生で東農大転入。同大3年の02年名古屋場所で初土俵。幕内在位は63場所で最高位は小結。14年1月に日本国籍を取得。通算548勝545敗56休。技能賞1回。現役時代は184センチ、142キロ。得意は右四つ、投げ。
(スポーツ報知)
初期に発見できるかどうかか。
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