第204通常国会が150日間の会期を終えて閉幕した。菅義偉首相が初めて臨んだ通常国会は、新型コロナウイルス感染症対策や東京五輪・パラリンピック開催の是非など、例年にも増して「非常事態」への対応が焦点となった。 野党は、深刻化するコロナ禍に対応するため、早期に補正予算を組む必要があるとして、3カ月の会期延長を申し入れた。しかし、与党は「政府提出法案がほとんど成立している」として要求を拒否した。 政府が新規提出した法案63本のうち61本が成立し、成立率96・8%は7年ぶりの高水準だった。だが、国会は内閣が望む法律の制定だけが役割ではない。行政機関の政策遂行を監視し、国民が抱く不安や疑念に応えるのも、重要な責務である。非常時対応が求められる中、国会での論戦を打ち切るような政府・与党の姿勢は容認できない。 首相は国会冒頭の施政方針演説で「一日も早く(コロナ禍を)収束させる。私自身も闘いの最前線に立つ」と決意を示した。しかし、感染拡大は止まらず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出・延長が繰り返された。判断の根拠や妥当性などを十分説明できていない。医療提供体制が逼迫(ひっぱく)して適切な治療を受けられない事例は各地で報告されている。 首相の質問をかわす姿勢が目立ち、与野党の論戦は最後まで深まらなかった。コロナ禍という非常事態で、政治がその責任を果たしているとは言い難い。 ■ ■ コロナ収束に確たる見通しが立たない中、五輪開催に伴う感染リスクや防止策に関し、議論は尽くされていない。開催中止・延期派のみならず、開催には肯定的でも、感染拡大に不安を感じている人は少なくないだろう。 首相は、先進7カ国首脳会議(G7サミット)で五輪開催支持を取り付けた。開催にまい進する中、肝心の日本国内の理解と協力を十分得られているとは言えない。政府のコロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は「強い対策を打たなければ、必ず医療の逼迫が起きる」と指摘している。国際社会に公約した「安心・安全な大会」の実効性が一段と問われてくる。 五輪の観客数などに関し、大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)などが近く判断するとみられる。政府はその前に、国会の閉会中審査などを通して、感染対策の詳細を示す必要がある。 ■ ■ 衆院議員の任期が10月に迫り、通常国会が事実上最後の論戦の舞台だった。会期延長せずに閉じるのは、衆院選や東京都議選に向けて、追及されかねない論戦を避けるためではないかとの疑念が湧く。 首相は野党時代の10年前、自身のブログで東日本大震災の対応を巡り、会期延長を渋る当時の民主党政権を批判。「被災地の状況を考えると、国会を閉じるなどとんでもない」と指摘していた。
内閣支持率が下落する中、政治への信頼を回復したいのであれば、論戦に真摯(しんし)に向き合い、国民に語るべきだ。
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この首相と自民党では無理だろう。
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