◇パ・リーグ 日本ハム5―2オリックス(2021年6月24日 京セラD)
日本ハムのドラフト1位ルーキー・伊藤大海投手(23)が24日、京セラドームでのオリックス戦に先発。11連勝中の首位チームを相手に4四死球を与えながら、6回6安打2失点にまとめた。再三のピンチでも己を見失わず、冷静に試合を支配。自身4連勝となるプロ5勝目で、オリックスの連勝を止めるとともに、チームの同一カード3連敗も阻止した。
止めた。耐えて、しのいで止めた。チームの連敗も、首位・オリックスの連勝も。ルーキー伊藤が最下位にあえぐチームを救った。
「リードを最後まで守りたいという気持ちだった。野手に助けられました」。首位の勢いを警戒して厳しく攻めたのが裏目で、投球の幅を狭めてピンチの連続だった。4―0の4回には無死二、三塁から内野ゴロと犠飛で2点を失ったが、この日のテーマに掲げた「自分を持ち続ける」投球でしのいだ。4四死球を与えながらも、ペースは乱さない。直球を軸にスライダー、スプリットを配して6回6安打で2失点。「運も味方に付いてくれて、要所を締められたのは良かった」と振り返った。
投げる度に成長する姿がある。経験が身となり、肉となる。栗山監督は言う。「経験を凄く生かせる。ちゃんと考えて野球をやっているから。何となくやることがない」。マウンドだけでなく、私生活でも野球のことを考える時間が増えているという。交流戦で勝利数と防御率の投手2冠という経験も、この日の「耐える投球」につながった。その交流戦では活躍が目立った選手に贈られる「日本生命賞」を受賞。賞金100万円の使い道について「弟がシニアで本格的に野球を始めたので、グラブを買ってあげたい」と家族思いの面ものぞかせた。
日々進化する23歳の右腕に、栗山監督は目を細めて言った。「あの状況であそこまで粘れるのは大したもの。脱力と力を入れるバランスがいい。いい形で試合を支配できようになっている」。どんな状況でも己を見失うことはない。初回から4回まで毎回、先頭打者を塁に出しながら失点は4回の2点だけ。3回1死一塁では、4番・杉本に対して直球で押し込んで最後は外角ギリギリのスライダーで遊ゴロ併殺打に仕留めた。ここぞで力を入れる投球。首位相手に試合を支配した。
チームの同一カード3連敗を阻止し、オリックスの連勝も11で止めた。自身4連勝で5勝目だ。オリックス・宮城、楽天・早川らとの新人王争いにも食らいついていく。(秋村 誠人)
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素晴らしい。安心して見ていられる。
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