東京五輪・パラリンピックをめぐり、政府と大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などは21日に5者会談を開き、観客数の上限を1万人と決定する方針だ。
新型コロナウイルス感染拡大への懸念から「無観客」を求める専門家に対し、菅義偉首相は「有観客」を譲らなかった。ただ、開催都市の東京都では「第5波」の兆候も見える。リバウンド(感染再拡大)を招けば、首相の責任が問われるのは必至だ。
政府は、東京都などの緊急事態宣言を20日で解除し、21日から「まん延防止等重点措置」に移行。宣言や重点措置の解除後は、大規模イベントの観客制限を「上限1万人」とする。首相は17日の記者会見で、五輪の観客について「人数上限はこうしたルールに基づき決定される」と述べた。
一方、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らは、五輪開催の提言をめぐり水面下で協議。宣言発令の目安となる「ステージ4(感染爆発)」相当なら中止を求める案も一時は有力視された。
政府は当初、こうした専門家の動きに対し、「自主的な研究」(田村憲久厚生労働相)などと冷ややかだった。しかし、五輪中止論の広がりを受けて方針転換。今週に入って「西村康稔経済再生担当相が連日、専門家との調整に当たった」(政府関係者)という。最終的に公表された提言は、無観客が「望ましい」としつつ、有観客の余地も残した内容となった。
首相は「野球やサッカーはいいのに、なんで五輪だけ観客が駄目なんだ」と周辺に語るなど、専門家への不満をにじませる。観客を入れて五輪を開催することで、新型コロナ対策の成功を国内外にアピールする思惑に加え、IOCなどの意向も背景にあるようだ。
首相は18日夜、執務を終えて首相官邸を出る際、記者団から専門家の提言への対応を問われたが、無言で立ち去った。西村氏は会見で、尾身氏から提言を受け取ったことを明かした上で、「首相をはじめ政府内で共有した。しっかり受け止めて対応したい」と述べた。
もっとも、報道各社の世論調査ではなお、五輪開催への慎重論が根強い。7月4日投開票の東京都議選や今秋までの衆院選を控え、首相側近は「有観客で『第5波』が生じればダメージは計り知れない」と懸念。政府内では、7月23日の五輪開幕までに感染状況が改善しなければ、無観客を決断すべきだとの意見も出ている。
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専門家の提言を聞かない無能な首相により、不幸な結果にならないことを祈るしかない。
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