24日後に五輪開幕を控える東京都は、新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)が濃厚となっているが、政府は現時点で上限1万人などとする有観客開催路線を保つ。専門家が強い危機感を表明しているのは、大会期間中に国内の人の流れが増大して感染爆発を引き起こす事態であり、ここをコントロールできれば五輪に支障はない、との論理とみられる。既に上昇基調が著しい人出。抑制の成算は、本当にあるのだろうか。 28日、東京都の新規感染者数は317人を数え、9日連続で前週の同じ曜日を上回った。 主要因とされるのが、人出に伴う人と人の接触機会の増加だ。都は、ソフトバンク子会社のアグープ(東京)が解析したデータを基に資料を取りまとめた。それによると、3回目の緊急事態宣言からまん延防止等重点措置に移行して初の週末となった26、27の両日、銀座や歌舞伎町など主要地点の人出は、1月と3月に宣言を発出する以前の水準まで急上昇した。 それでも、政府は五輪開催中の混雑緩和に自信をにじませる。
都などの試算から、新たに都内に流入してくる人口を1日平均約19万人と積算。一方、普段、都内に通学している生徒や学生などは1日約75万人に上り、このほとんどが「五輪が実施されている夏休みの間は、都内に入ってこない」(丸川珠代五輪相)として、差し引きで人の流れは統御可能なレベルになるというのだ。この条件下で、テレワーク推奨▽社会人の夏季休暇を分散取得▽首都高速道路の利用料は千円上乗せ-などの施策も組み合わせ、感染リスクを下げる戦略を描く。 もう一つ、ワクチン接種の進展にも大きな期待を託す。西村康稔経済再生担当相は「(五輪開幕直前の)7月20日ごろには6千万回まで接種が進む」。計算上、国内人口の半分が1回目の接種を終えることになり、欧州で経済活動が緩和された時期のワクチン普及状況に近いと主張する。
こうした政府の楽観論に対し、五輪開会から9月5日のパラリンピック閉会までの間、社会の盛り上がりを背景に自粛規律のたがが外れ、人の動きが激しくなって感染爆発に陥るとの懸念は根強い。専門家は、観客が入った競技会場がテレビ中継され、人々に「もう大丈夫かも」との誤ったメッセージが伝わり、感染力が強く重症化しやすい「インド変異株の影響が敏感に出やすくなる」(和田耕治・国際医療福祉大教授)ような状態になっていくのは避けなければと訴えている。
ワクチンも変異株に対し、発症予防効果が9割近くまで発揮される時期は、2回目接種を終えてから2週間後とされる。五輪にどこまで貢献するかは不透明であり、過大評価は危うい。東京などに適用されているまん延防止等重点措置の期限は、7月11日。五輪期間中の人出抑制の前に、ウイルス感染の現在地を表すこの措置がどうなるかによって、無観客開催もテーブルに載ってくる。(河合仁志)
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おバカな政府の対応で、人流が減らず感染爆発だろう。
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