この日はいつものファーム本拠地(雁の巣球場)ではなくヤフオクドームでの試合。焦点は来日して初めてとなる一軍本拠地のマウンドにアジャストできるかどうかだった。だが、不安など微塵も感じさせず、7回13奪三振ながら球数95の省エネ投球。与四球1の制球力のよさに加え、無駄なボール球がほとんどなかった証拠でもある。それでも助っ人右腕は「今日はコントロールが定まらなかった方なんだ」と話して首脳陣を驚かせた。
バンデンハークは米メジャーで目立った実績はないものの、昨季は韓国プロ野球のサムスン・ライオンズでプレイし、13勝4敗の好成績を挙げた。防御率(3.18)、奪三振(180)はいずれもトップ。投手二冠の実績を引っ提げてソフトバンク入りした。
身長198センチから投げ下ろすストレートは最速154キロ。カーブやチェンジアップなども操り緩急自在なうえに、精密機械のようなコントロールとくれば、二軍レベルで打たれるはずがない。そもそも年俸は1億5千万円とも2年総額4億円(いずれも推定)とも報道され、巨人をはじめとした複数球団との争奪戦を制してソフトバンクが獲得した大型右腕なのだ。
ヤフオクドームでの試合は工藤公康監督も視察した。だが、頼もしい新戦力の快投を素直に喜べない理由があった。工藤監督は困ったような笑顔を浮かべ、こう話す。
「難しいね。枠があったらすぐ(一軍に)上げたいくらい」
思わず本音が漏(も)れた。
現在の制度では外国人選手の一軍登録枠は4人と決まっている。ソフトバンクの場合、先発ローテーション投手で今季すでに1完封を含む2勝をマークしているジェイソン・スタンリッジ、昨シーズン37セーブを挙げた守護神のデニス・サファテ、ソフトバンク打線の主軸として活躍している李大浩(イ・デホ)の3人は、開幕前からすでに決まっていた。
そしてバンデンハークは4人目の外国人選手として名前が挙がっていたのだが、春季キャンプ中盤に左脚内転筋を痛めて一時離脱。その間、急激に評価を上げたのが、昨季戦力外となり、育成選手として再契約したエディソン・バリオスだった。
バリオスは2013年に初先発初勝利を挙げるなど、先発として投げていたが、工藤監督の意向によりリリーフに配置転換となった。これが見事に的中した。オープン戦で好投を続け、再び支配下登録されると、開幕一軍のメンバーにも選出。そして五十嵐亮太が故障で遅れていることもあり、バリオスは守護神につなぐ8回を任されるセットアッパーとして欠かせない戦力となった。
一方で、李大浩は開幕から打率1割台と不振を極めているのだが、外国人選手の登録は「投手もしくは野手、それぞれ3人まで」となっており、投手ばかり4人を登録することはできない。工藤監督も「(他の投手が)調子を落としたりすれば、わかりやすいんだけど……」と頭を抱えるしかない。
webスポルティーバ
外人枠の贅沢な悩みが羨ましい。
そんなソフトバンクに勝たないと、日本ハムの優勝はないだろう。
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