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2016年6月25日土曜日

抑えの切り札・増井と捕手・近藤が機能せず。日本ハム、残りシーズン2つの不安

守護神増井の不調が誤算
 交流戦をどうにか10勝8敗(5位)で乗り切って、リーグ戦に戻ったファイターズだ。今年は「5番ピッチャー大谷翔平」が163キロ連発で日本生命賞に輝く等、見どころの多い交流戦だった。打線では中田翔が苦しんだが、その分も下位のレアードが活躍してくれた。さぁ、ソフトバンクを追いかけよう!

 と、サクッと切り替えられたらいいのだが、交流戦の終盤、ちょっと心配になる出来事があった。僕だけじゃなくファンなら皆、同じ気持ちだと思う。増井浩俊と近藤健介が2軍落ちしたのだ。

 このうち増井に関しては当コラムで以前取り上げている。「抑えの切り札」が切り札として機能しないのだ。今季はなかなか調子が安定せず、一度、2軍で調整したのだった。再昇格後は復調したと信じていたのだが、象徴的にはDeNA2回戦、9回裏2死から食らった筒香嘉智2ランだ。矢野謙次の代打ホームランを台無しにする背信のマウンド。

 まぁ、2軍落ち自体はその後の中日3回戦(危うく大谷の勝ちを消しかけた)がきっかけだが、プライドを木っ端みじんにされた感は筒香の一発がはるかに上だ。当面、抑えは「ザ・キリン」ことマーティンが務めることになる。ディフェンスのチームは後ろがしっかりしないと計算が立たない。
捕手・近藤を再度試すも……
 で、もう一人ショックだったのが近藤健介だ。ご存知の通り、去年、打率.326でベストテン3位の好成績を残した好打者。捕手登録だが、去年はほぼDH出場だった。ファイターズが抱える大問題は「コンスケにどこを守らせる?」なのだ。

 事情は森友哉(西武)に似ている。

「打てる捕手」は魅力があって、僕もあわよくば近藤が正捕手に定着しないかと夢想してきた。が、横浜高校時代、強肩で鳴らした近藤がどうやら送球のイップスを抱えてしまったようなのだ。バント処理の1塁送球、盗塁時の2塁送球がどちらも安定しない。極端なケースではバントが自動的に2塁打になってしまう。何がきっかけなのかわからないが、プロでは意外とあることなのだ。

 僕が取材した例を挙げると名遊撃手・田中幸雄が送球のイップスを抱えていた。一度スタンドに飛び込む大暴投を演じ、怖くなったそうだ。といっても、いつも必ず暴投してしまうわけじゃない。田中幸雄は何とイップスを抱え込んだ後、ゴールデングラブ賞の常連になった(!)。

 近藤の打撃を生かすべく、栗山英樹監督は(キャンプでも練習しなかった)サードやショートで起用したことがある。これはベテラン内野手のプライドを傷つけ、退団のきっかけになったといわれているが、少なくともサードの守備は悪くなかった。

 が、サードには大砲レアードがいる。じゃ、DHかといえば今年は大谷が抜群だ。押し出されるようにして競争の激しい外野にコンバートされた。外野は使ってみたい選手が目白押しだが、他に空いてるとこがない。

 で、たぶん一巡りして栗山監督は「捕手近藤」のプランを再度試す気になったのだ。言っておくが、今季はキャンプで捕手の練習をしていない。2軍であらためて一から調整させて、交流戦の中日戦2回戦でスタメン起用した。僕らファンはドキドキだ。頼むから大過なく過ぎてくれ。

 で、1対1で迎えた6回裏、走者・荒木雅博が2盗したのだ。近藤の送球は2バウンドして、中島卓也のグラブを弾いた。「うぅ、2バウンド……」と僕は泣きそうになる。結局、これを足がかりに2点を奪われ、チームは負けてしまう。

 もしかするとだ。もしかするとこれが近藤健介の最後のキャッチャー姿になるかもしれない。栗山さんはクイックの速い吉川光夫だから何とかなると計算したのだろう。何ともならなかった。2軍に応援に行かなきゃなぁ。本当に胸のつまる光景だった。

えのきどいちろう

(ベースボールチャンネル編集部)
 2軍で捕手・近藤を育てるか、1軍で野手・近藤で使うか。

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