英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したことで、急激な円高、株安が日本経済の足かせとなりそうだ。主要シンクタンクの試算では、円高による輸出減などで国内総生産(GDP)が最大1%強押し下げられる見通し。世界経済のリスクが思わぬ形で顕在化し、名目GDP600兆円を目指すアベノミクスは仕切り直しを迫られかねない。(山口暢彦)
石原伸晃経済再生担当相は24日午後に開いた緊急会見で「(離脱派の勝利は)予想と大きく違った。世界経済の動向をこれまで以上の緊張感で注視し、政策対応に万全を期す」と述べ、近く経済財政諮問会議を開き、対策を協議する考えを示した。
市場関係者が警戒するのは円高、株安の急進などによる日本経済の下振れだ。
大和総研は24日、「離脱派」の勝利が確実になったことを受け、実質GDPが最大1%程度押し下げられるとの試算を発表。2008年のリーマン・ショック並みに世界経済の実質GDPが1・3%減少した場合、15%の円高ドル安、20%の東証株価指数(TOPIX)下落で日本の実質GDPは1・11%減るとした。世界の実質GDPが0・04%減程度で済む、より楽観的なシナリオでも、日本のGDPは0・34%下押しされるという。
岡本佳佑エコノミストは「円高や世界経済減速による外需の縮小で、日本からの輸出が減り、企業収益悪化につながる。株安は消費者心理を冷やし、個人消費を縮ませる恐れがある」としている。
英国の日系企業のEU向け輸出品に関税がかかり、輸出が減って、企業収益の悪化につながる恐れなども考慮すれば、日本経済への影響はさらに広がりかねない。
安倍政権は平成32年ごろの名目GDP600兆円を目指しているが、達成には年2%の高い実質成長率が必要となる。
だが、少子化による労働力人口減少などもあって、27年度の実質GDPは前年度比0・8%増と、成長力はすでに低迷している。英国のEU離脱の影響は大きく、GDP目標達成が難しくなる懸念は強い。
(産経新聞)
関税とポンド安で日系企業も影響あり。
0 件のコメント:
コメントを投稿