配信
鹿児島県曽於市郊外の檍(あおき)地区にある小迫ストアー。昼前の店内にはおいしそうな弁当や総菜が並ぶ。「鶏肉、小麦粉、揚げ油、容器…。値上がりしていない材料を探すのが難しい」と小迫高雄代表(69)はため息をつく。 食品の値上げが止まらない。年内に主要メーカーの1万品目以上が平均13%上がるとの調査もあるが、小売店は価格転嫁に悩む。小迫ストアーも267円(税込み288円)弁当を4月に298円(同322円)に値上げした。それでも原価上昇分には見合わない。 1921(大正10)年の創業から100年以上、住民の生活を支えてきた。地区内には、店の食品や総菜に栄養のほとんどを頼っている高齢者もおり「値上げで買い物を控えれば健康に影響が出る」と懸念する。 過疎高齢化で商圏の購買力が細る中、手ごろな価格の弁当販売に活路を見いだし、車で訪れる域外の客を増やしてきた。近くにある都城志布志道路の末吉ICを生かし、昨年から都城市と志布志市にも配達エリアを広げた。そんな努力も、燃油高が足を引っ張る。
今の物価高騰は、円安やロシアのウクライナ侵攻など国外要因が大きい。好景気での値上げではないため、賃金上昇を見込めない消費者は生活防衛に走る。 11日、鹿児島市で開かれたマネーセミナー。子育て中の会社員の女性(32)=薩摩川内市=は教育費や老後に備え、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)や少額投資非課税制度(NISA)の話に耳を傾けた。「同世代の交流サイト(SNS)で話題になっている。セミナーで『やる人はすでにやっている』と聞いて焦った」と話す。 生活に余裕があるわけではない。日用品をネットでまとめ買いし、生鮮品は旬の安いものを選んで節約したお金を投資に充てるつもりだ。それだけに値上げラッシュは痛い。日銀の黒田東彦総裁の「家計の値上げ許容度が高まっている」という発言には、「全然分かっていないんだな」と怒気をにじませる。 岸田文雄首相は「新しい資本主義」を掲げて人への投資などを打ち出し、賃上げや「貯蓄から投資」の推進を方針とする。「資産所得倍増」と勇ましい言葉が使われているが、将来への不安から支出を抑えて投資する現状は望ましい循環なのか。そもそも、投資の余裕がない人もいる。
昨年、福岡県から鹿児島市に引っ越して求職中の元会社員の女性(51)は「同じ仕事でも鹿児島は手取りで月2~3万は少なくなる。ガソリンも高くて国の対策の効果は感じられない」と話す。首相が掲げる構想は「鹿児島のような地方にどれだけ関係ある話なのか」と現実感を持てない。 野党が訴える消費税減税などの政策にも「本当にできるのか。その後は大丈夫かも示してほしい」と懐疑的だ。「まずは正規雇用を増やし、生活の底上げが必要。今は頑張っても未来に不安しかない。安心という希望が欲しい」
**************************************************************
投票率が低く、自公有利では、日本の政治や暮らしは変わらない。物価高対策であれば、賃上げ、年金増額や消費税減税、給付金支給しか方法がないでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿