◇交流戦 広島3-2日本ハム(2016年6月7日 旭川)
若き左腕が躍動した。広島・戸田隆矢投手(22)が今季2度目の先発マウンドに立ち、6回4安打1失点で3勝目をマーク。昨年5月8日阪神戦(甲子園)以来の先発白星を挙げた。好調の日本ハム・大谷を対戦した全3打席で封じ、打線を分断。粘り強い投球で味方の援護を引き出した。チームは連勝でガッチリと首位固め。価値ある1勝で赤ヘル軍団の独走ムードさえ漂ってきた。
こん身の力で大谷を斬った。戸田が対戦した全3打席で2三振を奪うなど無安打に抑え、日本ハム打線の分断に成功。勝利の、そして首位固めの原動力となった。
「気持ちだけは負けないように行きました。でも、まだまだ1回、対戦しただけなので」
まだ、あどけなさの残る爽やかな笑顔で今季3勝目を振り返った。
試合前の時点で打率・359、9本塁打。球界を代表する強打者・大谷をプラン通りの攻撃的投球で抑えた。
「内角を厳しく攻め、外の曲がり球で打ち取りたい。それが結果的にいいところに行って、打ち取れて良かった」
ハイライトは同点で迎えた3回1死二、三塁。内角への直球2球で追い込むと、外、内、外と直球を配球。最後はカウント2―2から外角スライダーで空振り三振に仕留めた。大谷だけではない。続く中田も147キロ内角直球で3球三振。普段はクールな若者が珍しくガッツポーズを繰り出す会心の投球だった。
三邪飛に打ち取った初回1死一塁も、空振り三振の6回1死も勝負球は厳しく内を突いてからの外角スライダー。前日、小林投手コーチから「投手・大谷ではないのだし、遠慮する必要はない」と内角攻めを厳命された。チーム方針を忠実に遂行した。
北海道を訪れたのは鹿児島・樟南高2年冬の修学旅行以来。「スキーばかりしていました」と当時を懐かしんだ。球場名に冠せられたレジェンド、スタルヒンについて「名前は…。いや知ってます。よく知ってます」と笑い、和やかムードを作り出す癒し系だ。それがマウンドでは仁王立ち。「戸田さんはコントロールもテンポも良くて、なかなか絞りきれず行ってしまった」と大谷に歯がみさせた。
緒方監督も「安心して見ていられた」と目尻を下げる快投。本人は「今日は勝ちましたけど、もっともっと信用を得ないと。次にいい投球ができなければ、ダメです」と表情を引き締めた。今月10日が誕生日。22歳最後の登板は自身にも、チームにも意義あるものとなった。(桜井 克也)
◆戸田 隆矢(とだ・たかや)1993年(平5)6月10日、兵庫県生まれの22歳。樟南では1年秋からエースを務め「九州No.1左腕」との評判ながら、甲子園出場なし。11年ドラフト3位で広島入団。1年目の12年9月12日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初登板初先発。昨季は先発、救援とフル回転し、34試合に登板した。1メートル81、72キロ。左投げ左打ち。
(スポニチアネックス)
戸田好投で、旭川で勝てずか。
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