配信
菅義偉首相は7日の参院決算委員会で、東京オリンピック・パラリンピックについて「国民の命と健康を守れなければ、やらないのは当然だ」と述べ、開催中止の可能性に初めて言及した。菅政権は五輪を開く方針を変えていないが、新型コロナウイルスの脅威が続く中、「開催ありき」と映れば国民の理解が得られないと判断したようだ。ただ、この日も首相は具体的な開催基準を語らず、コロナ下で五輪を開催する「大義」の説明にも苦慮している。 「人命がかかっている。何が何でも強硬に五輪・パラリンピックを開けばいいというものではない」。立憲民主党の福山哲郎幹事長は決算委で首相の姿勢を追及した。これに対し首相は「まずは(20日が期限の)緊急事態宣言の解除に全力を挙げたい」と訴え、各国の五輪選手や大会関係者が訪日後の感染対策にも万全を期すと強調。「国民の命と健康を守るのが五輪開催の大前提だ」と繰り返し、「中止」の可能性にも言及した。 一方で「私自身は主催者ではない。東京都や組織委員会などが最終決定する」とかわし、五輪を開催できるか否かの具体的な判断基準は示さずじまい。国民の命と健康を「基準にしたい」と堂々巡りの答弁をする場面もあり、質問した野党議員から「感染指標のステージ1(感染ゼロ散発)以下といった具体的な目安がないと、国民が共感できない」(立憲・水岡俊一氏)などの声が相次いだ。 共産党の小池晃書記局長は「リスク評価をしないまま、世界最大のスポーツイベントを開くのは危険だ」などと追及。政府の基本的対処方針分科会の尾身茂会長は「今五輪があれば感染リスクが高くなるのはどう考えても普通だ。やるならリスクを軽減する策に、組織委や政府などが全力で協力することが求められる」と指摘した。 政府・与党は、五輪を巡る国民感情が今後の内閣支持率や7月の東京都議選を直撃するのでは、と気をもむ。自民党幹部は「政権が『開催ありき』で突き進んでいるように見えれば、支持率に跳ね返る」と分析。直近の報道機関の世論調査では開催の賛否が拮抗(きっこう)しているが、先行きは不透明だ。 このため政権は感染対策と同時に、コロナ下での五輪の正当性を訴えようと躍起だ。公明党の山口那津男代表は2日、開催の根拠や意義を説明するよう首相に要請し、首相は開催の意義について「まさに平和の祭典だ。一流のアスリートが東京に集まり、スポーツの力を世界に発信する」と記者団にアピールした。 ただ、コロナ以前からの伝統的な五輪のキャッチフレーズを持ち出した首相に政府内からも「今さらだ」と苦言が漏れる。ただでさえ、東京五輪の「意義」は安倍前政権時代から「東日本大震災からの復興五輪」「人類が新型コロナに打ち勝った証し」などと変遷。立憲幹部は菅首相の発言について「このコロナ禍で言っても空虚なだけだ」と指摘した。【小山由宇】
************************************************************
ステージ2、無観客、五輪VIP来日禁止でしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿